シフトチェンジする作業を省けば、ハンドルやペダル操作の自由度が大幅に向上
ベルトでエンジンパワーを伝達し、ふたつのプーリーの大きさを連続可変させることによって、ギア比を変更していくCVT。走行中、もっとも効率的なエンジン回転数を維持できることから、エコ・低燃費なイメージが付いてまわる。実際、コンパクトカーやハイブリッドカーなどに搭載されていることも、このイメージを助長していると言えるかもしれない。その反面、スポーツ走行には向かないと言われ続けてきた。
トヨタはこのイメージを覆そうとしている。2017年、トヨタGRはスポーツ制御を施し、密閉式LSDを内蔵したCVTを開発、全日本ラリー選手権JN3クラス参戦車両に搭載したのだ。結果は好調。同クラスでシリーズランキング2位を獲得して、その実力を見せつけたのだ。
そして2018年、このスポーツCVTユニットをさらに広めるため、全日本ラリー選手権に参戦するチームへ供給するのだ。すでに決定しているチームは2つ。JN1クラスのTEAM OKUYAMA(いとうりな/竹原静香・YH ACRE AW OKUYAMA VITZ)とJN3クラスのAW Rally Team with LUCK(大倉 聡/TBD・トヨタ Vitz RS CVT(仮称)だ。
MT車両に劣らないパフォーマンスを発揮、シフトチェンジによってハンドルから片手を離す手間を省き、左足でブレーキ制御できる時間を増やすなど、メリットは想像以上に多い。男性だけでなく女性もモータースポーツを始めるきっかけになってほしい、と開発者はコメントしている。
ちなみにこのスポーツCVTの技術は、すでに市販車に活かされている。2017年9月に発売されたトヨタ ヴィッツ GR SPORT“GR”の制御に採用されているのだという。