ファミリア、サバンナRX-7に続く第3のアンフィニに選ばれたのはカペラC2だった。ハンドリングにとことんこだわる姿勢は前2車と変わらず、カペラというクルマの車格に合わせて、よりふところの深い大人の走り味を目指した。限定台数は300台(東京地区の販売価格は222万円)。今では知る人ぞ知る、通好みの1台だ。
インテリアには、RX-7と同じくMOMO製の本革巻きステアリング、本革巻きシフトノブ&ブーツを採用、シートや内張りには専用地を採用した。
チューニングの手法はアンフィニ・シリーズ共通のもの。低圧ガス式ショックアブソーバの採用、ブッシュの硬度アップ、15㎜ダウンする専用スプリング(リアは非線形)…さらにカペラでは、フロントのサブフレームにクロスメンバーを追加して補強、リアはストラットタワーバー&パフォーマンスロッドの採用によりボディ剛性をトータルでチューニングするなど、高度な改良が施された。さらにエンジンはハイオク化によりベース車比+10ps(150ps)を達成した上でビスカスLSDも装着され、洗練されたハンドリングを実現していた。ちなみに同車に搭載されたハイオク仕様のエンジンは翌年に実施されたカペラのマイナーチェンジで全車に搭載されている。
カペラの2ドアという車種選定が災いしたのか、初回の300台の生産をもって発売は打ち切り。サバンナRX-7アンフィニが、都合8回も生産・進化を遂げていたのとは対照的に、バージョン2が開発されることはなかった。とは言え、その洗練されたハンドリングは当時の欧州車に勝るとも劣らない優れたものであったことは間違いない。マツダ・エンジニアリングの粋を見せつけた、忘れ去られた名車である。