チェリークーペの1200X1-Rやバイオレット1600SSなど、日産のスポーティカーに多く採用されていたSUキャブ。可変ベンチュリー式のキャブレターだが、どういう仕組みだったのか。
文:飯嶋洋治
ガソリンの出口の大きさを連続可変?
イギリスのスキナーズ・ユニオン社で製造されていた可変ベンチュリー式のキャブレターのことで、その社名Skinners Unionの頭文字からSUキャブという名称となっていた。日本では日立がライセンス生産をしていたことで、日産のスポーティ車にSUツインキャブが使用されていた。
ガソリンをキャブレターのベンチュリー部に供給するジェット、その口径の大きさを連続的に調整でき、吸気(アクセル開度)に応じてガソリンの量を合わせられるというもの。フレキシブルな燃料供給をできるシステムだ。
構造は……。ベンチュリー部に上下可動式のピストンバルブがある。そこに針のようなジェットニードルが備えられ、それがジェットに刺さるように配置されている。吸気の負圧が大きくなるとピストンバルブとジェットニードルが上がり、ガソリンの出口とジェットの口径も大きくなる。これにより多くのガソリンが引き出されるという仕組みとなっている。
ガソリン供給量を調整できるすぐれたシステムだったが、排出ガスをきれいにするのが難しく、いつしか姿を消した。