1957年、プリンス時代に発売された初代スカイラインに採用されていたサスペンション形式、ド・ディオンアクスル。昔から採用例の少ないこの形式、どのような機構なのだろうか。
文:飯嶋洋治
近年ではホンダ アクティやNシリーズなどに採用されている
ド・ディオンアクスル(ド・ディオン式サスペンション)は、リジッドアクスル(車軸懸架式サスペンション)のひとつで、デフを備えた駆動輪用のサスペンションだ。左右輪が太い車軸でつながっているという点でリジットアクスルと同じだが、違いはデフがどこに固定されているかだ。
後輪駆動のクルマで考えると、リジッドアクスルの場合リアデフは車軸に固定されている。そのため、路面の凹凸によりサスペンションが動くと、それと合わせてデフまで一緒に上下してしまう構造だ。これではバネ下重量が重く、やはりサスペンションの追従性としては良くない。
そこで考え出されたのがド・ディオンアクスルだ。重いリアデフをボディ側に固定してバネ下重量を軽量化、サスペンションだけを動かせるようにしたもの。ただし、左右輪は太い車軸で結ばれているために、リジッドアクスルであることにかわりない。
部品点数が増えてコストもかかるのだが、過去、スポーティなサスペンション形式としてプリンス 初代スカイラインやマツダ コスモスポーツなどの日本車に採用されてきた。現在ではスポーティな車種ではないが、ホンダのアクティに使用されている。これはエンジンとデフが一体のために、必然的に使用されたものと言える。そのほか、ホンダ Nシリーズの4WDモデルにも採用されている。