ユニオンジャック柄のテールランプが羨ましい
ワタクシ竹岡圭、この業界でいちばんMINI(ミニ)に乗ってる宣言します! というのも、R50→R56→F55→F60と、3世代4台のミニを乗り継いできてますからね。その私が今回の改良で一番羨ましいのが、ユニオンジャック柄のテールランプ。2代目までは無国籍なクルマとして押し出していたミニですが、3世代目からはイギリス由来を強くアピールし始めて…。
まぁそうやって、見た目からミニの世界に入る方は多いと思うのですが、その扉を開けてみたら、走りの愉しさにすっかりハマってしまい…というパターンもあることでしょう。
ガッチリしたボディに、ゴーカートフィーリングを謳う足回り、オンザレールを語るハンドリングですから、キビキビ感がハンパない! 中でも今回試乗したクーパーSは192㎰に280Nmを誇るスパルタン系。この上にJCWという231㎰のマッスル系もありますが、今回はさておき…。このトランスミ
ッションがですね、6速AT→7速DCTになったというのが今回の改良の大きなニュースです(ちなみにJCWは6速AT→8速ATに)。
先んじてBMWのX1に7速DCTモデルが導入された時に「アレ? 最近多段化ATが世界的に見直されているのに、なぜこのタイミングであえてDCTを?」と思ったんですが、ナルホド、ここに搭載されてきたのか!という感じでした。
ATとDCTを比べると、DCTの方が軽量、コンパクト、燃費が出しやすいというメリットがあります。反面、発進時や低速走行での滑らかさに欠けることがデメリットと言われてきましたが、最近はだいぶ改良されてきましたし、なにより、ミニはそれよりもDCTの持つダイレクト感の方が優位に好まれるモデルですからね。
さらに、最近流行りの電子制御類、自動運転支援、アイドリングストップとのマッチングはATよりも厳しい感じが見受けられますが、ミニはあまりこの部分を重要視していないモデルでもあります。自分で操って愉しいのがいいじゃん!という割り切りが身上ですからね。
AT→DCTへの変更でダイレクト感が増して愉しい!
そう考えて乗ると、まぁコレがなかなかにいいんですよ。特に元々トルクフルなクーパーSとの組み合わせは実にいい感じで、ダイレクト感でよりスポーツドライビングが愉しく、でも逆にネガティブな部分はほとんど感じませんでした。試乗中に低速域で1回だけ変速が迷ったような感触があったくらい。
先代となるR56の時、プジョーとパワートレインを共用化したのですが、トランスミッションを作ったアイシンに、ミニはとにかくショックを少なくしてくれと要望したのに対し、プジョーはいかに変速しているとわかるようにショックを出してくれと注文した、なんていうユニークな話がありましたが、それだけショックの少ないDCTができたということの証でもあります。全体的にはより好印象に
仕上がったという感じです。
足回りなどは特に進化も変化もなしという報告でしたが、全体的に決してマイルドではなく、まろやかにバランスが良くなった印象を受けました。
個人的に残念だったのは、ドライビングモードのスイッチの位置が変わったこと。以前はシフトレバーリングにあったものが、センターのトグルスイッチが並ぶ部分の右端に設置となり、いわゆる普通っぽくなったのがちょっとつまらないかな…。ミニを選ぶユーザーは、ちょっと他とは違うという、このちょっと感が好みなんですよね。
■MINI Cooper S 5Door 主要諸元 ● サイズ=4015×1725×1445mm ● ホイールベース=2565mm ●車両重量=1320kg ●エンジン=直4DOHCターボ 1998cc ●最高出力=192ps/5000rpm ●最大トル=280Nm/1350-4600rpm ●車両価格=388万円(オプション込み480万5000円)
■ 文:竹岡 圭 ■ 写真:井上雅行