ハイブリッド、ターボのどちらを選んでも後悔しないはず
数カ月前にクローズドコースでカローラ ハッチバック(仮称・プロトタイプ)として味わった、カローラ スポーツの走りは、一般公道でも変わらぬ素晴らしさだった。限界領域でリアタイヤの荷重を巧みにコントロールしながらニュートラルステアを決めたそのハンドリングは、通常領域でドライバーが狙った通りの素直さを示し、安全性や直進安定性といったクルマの基本もきちんと押さえていた。
2種類のパワーユニットはどちらも完成度が高く、予算に合う方を手に入れればいい。トヨタはプリウスで得た技術をより安価に届けるべくカローラ スポーツに1.8Lハイブリッドをラインアップしたが、確かにこのユニットは成熟の過程にある。スポーツシフトとしてCVTに段階を切ったのは疑問で、むしろどこからでも過不足なく加速できるドライバビリティをさらに煮詰めることの方が未来的だとは思うが、AVS可変ダンパーを軸とするシャシの乗り心地は上質で、価格も約269万円まで抑えているのは見事だ。
とはいえ装備を盛って行けばアッという間にハイブリッドの乗り出し価格は350万円を超える。つまりハイブリッドは「大人用カローラ」であり、若者がCセグハッチを楽しみたいなら本命は1.2Lターボになる。
新世代 TNGA-Cプラットフォームによって純正(KYB)の足回りはしなやかで、減衰力可変機構などなくともクルマとしての楽しさが味わえる。ここに今回試乗できなかった 6速MTの軽さを組み合わせれば、まさにヤングハッチとしての軽さとクルマの基本が味わえるはず。乗り心地だって十分以上だ。
当初ボクはカローラ スポーツのライバルが欧州列強のハッチかと思っていたが、それは間違い。一番の強敵は同じトヨタのC-HRになりそうだ。
(文:山田弘樹/写真:森 浩輔)
カローラ スポーツ HYBRID G“Z”(1.8Lハイブリッド・2WD)主要諸元
●全長×全幅×全高:4375×1790×1460mm
●ホイールベース:2640mm
●重量:1400kg
●エンジン型式・種類・排気量:2ZR-FXE・直4DOHC・1797cc
●エンジン・モーター最高出力:エンジン:98ps・モーター:72ps
●エンジン・モーター最大トルク:エンジン:142Nm・モーター:163Nm
●システム最高出力:90kW[122ps]
●JC08モード燃費:30.0km/L
●トランスミッション:電気式無段変速機
●タイヤサイズ:225/40R18
●価格:268万9200円