ジムニーが20年ぶりにフルモデルチェンジした。ラダーフレームにリジッドの足、副変速機付きパートタイム4WDのコンポーネンツを受け継ぎながら、電子制御のブレーキLSDを備えた走りは、圧巻と言えるものだ。シエラと併せてその試乗記をお届けしよう。
画像: 【試乗】ジムニー/ジムニーシエラ「無骨でいて洗練度もアップ
想像以上の走破性の高さ」

キープコンセプトの勝利
ブレーキLSDが効く!

ジムニー/ジムニーシエラが20年ぶりのフルモデルチェンジを行った。ラダーフレームに前後リジッドサスペンション、エンジン縦置きの副変速機付きパートタイム4WDという、従来のユーザーを裏切らない姿で登場したことは喜ばしい。

画像: リアビューも機能美という言葉がピッタリ。先代はテールランプがサイドにあったが、バンパーにまとめて開口面積を広げている。

リアビューも機能美という言葉がピッタリ。先代はテールランプがサイドにあったが、バンパーにまとめて開口面積を広げている。

加えて衝突安全性能や、スズキセーフティサポートの採用など、安全面でも現代のクルマとして通用するように改良してきた。これにより、さらに広いユーザーに愛される可能性も出てきたと言える。試乗記の前にまず改良点をざっと見ていこう。

エンジンはK6A型からR06A型となった。こちらはロングストロークでトルクが太い。K型に比べて4.8kg軽量なのもポイントだ。フレームは古典的なラダーを使うが構造を刷新した。Xメンバーの追加などで剛性が高められている。

画像: エンジンはR06A型。動力性能の向上も見逃せないところだが、エンジン自体を軽量化したのも大きい。燃費は先代のJC08モードをWLTCモードで上回った。

エンジンはR06A型。動力性能の向上も見逃せないところだが、エンジン自体を軽量化したのも大きい。燃費は先代のJC08モードをWLTCモードで上回った。

サスペンションに関しては、大きな変更点はないが、これまで課題とされていた、荒れた路面からのキックバックと高速走行時のシミーを軽減するためにステアリングダンパーを新設しているのが大きなトピックだ。

もうひとつ、重要な点としてブレーキLSDトラクションコントロールが装着されたことが挙げられる。これについては試乗記の方で触れよう。

画像: シートスライドは240mm。ピッチは10mm刻み。チルトステアリングは35mmの幅で調整可能。シートは撥水ファブリックを採用した。

シートスライドは240mm。ピッチは10mm刻み。チルトステアリングは35mmの幅で調整可能。シートは撥水ファブリックを採用した。

画像: XC、XLでは左右独立リアシートリクライニング機構を設けた。12段階のリクライニングが可能となっている。

XC、XLでは左右独立リアシートリクライニング機構を設けた。12段階のリクライニングが可能となっている。

まず一般道での試乗から。ここでは2H(2WD)状態で走る。エンジンの吹け上がりも軽快で、60km/h程度の巡航速度では快適だ。静粛性もこのクラスとしては高い。サスペンションはリジッドだからロールしても対地キャンバーの変化はなく、普通のスピード域ではかえって安定したコーナリングができる。

待望のオフロードコースに入ってみよう。ここでは4L(4WDローレンジ)で臨んだ。クラッチをつないでアクセルを踏み込むと、あっという間にレブリミットに飛び込みそうになる程のギア比の低さとなる。モーグルコースを走って感じたのはキックバックの少なさ。ちょっと身構えてコースに入ったが、手が弾かれてステアリングを放してしまうということもない。ここはステアリングダンパーの効果が良く現れているところだ。

画像: 試乗車のXCのステアリングは本革巻。メータークラスターは視認性を高めるための常時照明を採用し機能性の高さ感じさせる。

試乗車のXCのステアリングは本革巻。メータークラスターは視認性を高めるための常時照明を採用し機能性の高さ感じさせる。

画像: シフトフィールはしっかり感重視の設定。副変速機をボタンからトランスファーレバーに戻したのは英断だ。

シフトフィールはしっかり感重視の設定。副変速機をボタンからトランスファーレバーに戻したのは英断だ。

大きなコブに乗り上げ、1輪が浮きそうな状況になるとブレーキ回りから「ギッ、ギッ」と断続的な音がする。最初、サスペンションからの音かと思ったのだが、ブレーキLSDが効いている音だと教えられた。これでタイヤがスリップしても、スリップした側のタイヤに自動的にブレーキがかかり、接地しているタイヤに駆動力を伝える。滑りやすい路面では多大な効果を発揮するはずだ。

急な下り坂ではフットブレーキを酷使しないためにヒルディセントコントロールを使って下るし、上り坂で止まってしまったときは、マニュアルも坂道発進を助けるヒルホールドコントロール機能がつく。

画像: 新型ジムニーは、これまでジムニー乗りが磨いてきたドラテクをクルマの方でやってのけてしまう面も…。

新型ジムニーは、これまでジムニー乗りが磨いてきたドラテクをクルマの方でやってのけてしまう面も…。

当日は晴天に恵まれ完全ドライコンディションとなったが、かえって少しでもマッドな状態で走ってみた方が、その真価を体感できたのかもしれない。慣れないオフロード走行で内心不安だったのだが、「けっこういけるじゃん!」と思ってしまったのは、自分のテクニックが…ではなくて、新型ジムニーの性能が…ということらしい。

ジムニーシエラに関してはオンロードのみの試乗となった。新開発のK15B型1・5ℓエンジンはトルクフルで、ガンガン回して走るジムニーよりもジェントルな感じ。エンジンがジムニーよりも重い分、スプリングもハードにしてあるが、気になるレベルではなかった。

画像: シエラの試乗はオンロードで。1.5ℓにスープアップされたエンジンはトルクフル。AT仕様でも良く走る。低μ路ではMTは扱いづらくATの方がいいはず。

シエラの試乗はオンロードで。1.5ℓにスープアップされたエンジンはトルクフル。AT仕様でも良く走る。低μ路ではMTは扱いづらくATの方がいいはず。

ジムニーXC主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm ●ホイールベース:2250mm ●車両重量:1030kg ●エンジン種類:直3DOHCターボ ●型式・総排気量:R06A・658cc ●最高出力:47kW(64ps)/6000rpm ●最大トルク:96Nm(9.8kgm)/3500rpm ●WLTCモード燃費:16.2km/ℓ ●燃料・タンク容量:レギュラー・40ℓ ●トランスミッション・駆動方式:5速MT・パートタイム4WD●サスペンション(前・後):3リンクリジッド・3リンクリジッド ●ブレーキ(前・後)ディスク・ドラム ●タイヤサイズ:175/80R16 ●車両価格:174万4200円

ジムニーシエラJC主要諸元

●全長×全幅×全高:3550×1645×1730mm ●ホイールベース:2250mm ●車両重量:1090kg ●エンジン種類:直4DOHC ●型式・総排気量:K15B・1460cc ●最高出力:75kW(102ps)/6000rpm ●最大トルク:130Nm(13.3kgm)/4000rpm ●WLTCモード燃費:13.6km/ℓ ●燃料・タンク容量:レギュラー・40ℓ ●トランスミッション・駆動方式:4速AT・パートタイム4WD●サスペンション(前・後):3リンクリジッド・3リンクリジッド ●ブレーキ(前・後)ディスク・ドラム ●タイヤサイズ:195/80R15 ●車両価格:201万9600円

■文:飯嶋洋治 ■写真:原田淳

画像: 新型ジムニー/ジムニーシエラについては、ホリデーオート9月号もご覧ください。

新型ジムニー/ジムニーシエラについては、ホリデーオート9月号もご覧ください。

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