性能アップが価格差に見合うか、ここが問題だ
ガソリンエンジンに使用する燃料は、レギュラーガソリンとプレミアムガソリンの2種類がある。その違いは、ノッキングと呼ぶエンジン内部の異常燃焼を抑えるオクタン価だ。この数値が高いほどノッキングを抑える効果が高い。レギュラーガソリンはJIS品質規格で89以上、プレミアムガソリンで96以上と決められている。
欧州では、オクタン価の規格が95以上となっていることも多く、輸入車は基本的にプレミアムガソリンが指定だ。また、ターボ車や高性能車なども、プレミアムガソリンを使ったときにエンジン本来の性能を発揮できるように設計されていることが多い。
一般的にプレミアムガソリンはレギュラーガソリンより1Lあたり10数円高い。それは精製するときにノッキング対策に加えて、エンジン内部の汚れを取り除く洗浄性能の高い清浄剤や、多くの添加剤をブレンドしているからだ。
添加剤の成分や配合はメーカーによって違う。これが売りのひとつで、各メーカーは知恵を絞って開発している。だから最大の効果を期待するなら、同じブランドのガソリンを連続して給油するのがいいだろう。
もしプレミアム仕様車にプレミアムガソリンを給油できない場合、レギュラーガソリンを入れても最近のクルマなら大丈夫。オクタン価の違いを車載コンピュータが読み取り、自動で最適な点火時期を演算するので、エンジンが壊れることはない。ただ、本来の動力性能は発揮できず、燃費も多少は悪くなる。
その逆はどうか。レギュラー仕様のクルマにプレミアムガソリンを入れれば耐ノック性能は向上する。しかし、もともとオクタン価の低い燃料に対応しているのだから、性能アップの効果は薄く、価格に見合わない。洗浄効果があるとメーカーはいうが、過走行のエンジンや旧車ならいざ知らず、一般のオーナーには必要なさそうだ。