ニューモデルが登場してからフルモデルチェンジするまで、自動車メーカーは何度か商品改良をするが、その間隔はメーカーによって違う。今回はその中でも年次改良をするメーカーにスポットを当てて、なぜこれを導入するのか解説してみた。

自動車メーカーとしては小規模だからこそできることかもしれない

輸入車においてはポルシェやボルボ、国産車ではスバルが年次改良を施して毎年イヤーモデルを発表する自動車メーカーとして知られ、近年マツダもそのひとつに加わっている。

画像: 先進安全運転支援システムに力を入れるボルボも、年次改良を行っている。

先進安全運転支援システムに力を入れるボルボも、年次改良を行っている。

スバルの年次改良はほとんどのモデルで、毎年同じような時期に行われる。現行のレガシィシリーズであれば、9月前後に行われるのが通例だ。また、年次改良ごとに7桁の型式のうち4文字目が、A→B→Cと順に変わる特徴もある。これによって、デビュー1年目(A型)で硬かった足回りが、2年目(B型)で快適な方向へ修正された事例がいくつかある。

なぜこれほど素早く対応できるのか、営業マンに聞いたことがある。すると、スバルディーラーの多くはスバルの100%子会社で、ユーザーの意見を市販車に反映させやすい体勢を整えているからという。快適性や装備の増強、デザインの刷新を施して熟成度を年々高めるのだ。

画像: 4代目レガシィの例。これはA型の前期モデル。

4代目レガシィの例。これはA型の前期モデル。

画像: 年次改良をするスバルは、デビュー4年目のD型で大幅改良を施すのが通例。これは4代目レガシィのD型でビッグマイナーチェンジをした後期型。

年次改良をするスバルは、デビュー4年目のD型で大幅改良を施すのが通例。これは4代目レガシィのD型でビッグマイナーチェンジをした後期型。

しかし、マツダの場合は少し違う。年次改良と言っても時期はバラバラで、早ければ改良の4カ月後にもう一度改良されたケースもある。開発者にその理由を尋ねると、現在技術開発はニューモデルやフルモデルチェンジのためにするのではなく、すべてのラインアップに投入できるよう「一括企画」しているからだという。

技術の進歩をスピーディにクルマへ反映させ、常に最新の商品を提供することがユーザーメリットになると考えられている。改良の時期をモデルごとに決められていないからこそ、自動車業界として異例の短期間で改良モデルを投入できるわけだ。

とくに技術進歩の早い先進運転支援システム(ADAS)の技術は、改良ごとに新たな機能を追加されている印象もある。

両社とも共通するのは、10車種前後というモデルラインアップの数だ。業界内では小規模な自動車メーカーだからこそ、できる業なのかもしれない。

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