欧州車のノックダウン生産からオリジナルのクルマ作りへ。「いすゞプラザ」で日本の自動車が本格的な大量生産へ歩み始めた頃に戻ってみるのも楽しい。今回はいすゞ自動車初の独自開発乗用車となったベレルを紹介する。(Motor Magazine 2017年12月号より)
日本初の量産ディーゼル乗用車
いすゞ自動車の乗用車生産は1953年、ノックダウン生産のルーツ社製ヒルマン ミンクスから始まった。そして、その経験の下、初めて独自に開発し生産したのが1962年のベレルだった。
ヒルマン ミンクスの長所を生かしながら、そこにいすゞ独自の設計を加えたものだった。タクシー業界への導入を想定して6人乗りとし、ヒルマンよりもボディサイズはひとまわり大きくなっていた。
エンジンは1.5Lと2Lのガソリンに加え、いち早く2Lディーゼルを搭載。モデル名のベレル(BELLE)は、いすゞ→五十鈴→鈴、からつけられた。
1965年10月にマイナーチェンジ。ヘッドライトを縦デュアルにしたほか、プレスを変更し、廉価版も追加した。タクシー需要は大きかったものの、自家用車としてはクラウン、セドリック、グロリアほどの人気を獲得できず、67年5月に生産終了した。
販売ネットワークの問題も大きかったと言われるが、いすゞ自動車はヒルマン ミンクス、ベレルをとおして、乗用車メーカーとして成長していくことになる。
いすゞプラザでは、そんないすゞの歴史を感じることができる。
いすゞベレル(1962年)
主要諸元●全長4485×1690×1493mm ●ホイールベース:2530mm ●エンジン:直列4気筒1991cc(ディーゼル) ●最高出力55ps/3800rpm ●最大トルク12.3kgm/2200rpm ●車両重量1226kg
いすゞプラザ ISUZU PLAZA
いすゞ自動車の創立90周年を記念して、2017年4月に藤沢工場隣接地に開設されたミュージアム。いすゞが生み出してきた数多くの車両を時代背景とともに紹介、今では乗用車のイメージは薄くなっているが、かつて日本を代表する乗用車メーカーでもあったことを思い出させてくれる。
いすゞが初めて生産したトラック「ウーズレーCP型」、伝説の名車「117クーペ」をはじめ、歴代の名車を展示。いすゞの歴史やものつくりの哲学を大人から子供まで実感できるスペースとなっている。一般に広く開放されていて、入場は無料。また誰でも利用できる宿泊施設やカフェなども併設する。
●住所:神奈川県藤沢市土棚8
●入館料:無料
●開館時間:
【月〜金・完全予約制】9:00〜17:00(受付16時まで)
【土、祝日・自由見学日】10:00〜17:00(受付16時まで)
●休館日:日曜日、ゴールデンウィーク、夏期休暇、年末年始
●駐車場:あり
●問い合わせ先:☎ 0466-41-5811
●電車でのアクセス:小田急江ノ島線/相鉄いずみ野線/横浜市営地下鉄ブルーライン「湘南台駅」下車/湘南台駅から無料送迎バスを運行
●クルマでのアクセス:圏央道 海老名ICから約10km/横浜新道戸塚料金所から約11k
●展示車両は入れ替えの場合あり。