時代に翻弄され、一度も実戦に出場することなく、姿を消した「ニッサンR383」。日産ヘリテージコレクションでその実物を見ることができるのは奇跡のようだ。(Motor Magazine 2017年3月号より)

ニッサン383の詳細はいまだに公開されていない部分も

日産ヘリテージコレクションには「幻のグランプリカー」と言われる、「ニッサンR383」も展示されている。

1969年の歴史に残るニッサン対トヨタの対決となった日本GPを制したニッサンは、すぐさま新しいレーシングプロトライプカーの開発に着手。互いにライバルに負けることは許されず、技術開発もヒートアップ。ニッサンは6LのV12エンジンをさらにパワーアップ、トヨタはこれに対抗して5Lターボエンジンを開発と、レース前から大きな話題を呼んでいた。

ところが、日本GP開幕直前となって、ニッサンは排出ガス問題対策などを理由に突然参加中止を表明。日本GPそのものも中止となってしまう。

行き場所のなくなった「ニッサンR383」は、Cam-Amへの参戦が噂されたものの、結局、一度もレースに出場することもなく開発を終えている。

お蔵入りとなったニッサンR383だが、7年の時を経て、1977年の東京モーターショーで一般公開されている。日産ヘリテージコレクションに展示されているのはその車両で、2006年に開催されたニスモフェスティバルではサーキット走行も行われ、ファンを熱狂させた。

画像: 日本GPの3連覇を狙って開発されたものの、実戦に出場することはなかったニッサンR383。その車両内容が公表されたのは1976年のことだった。エンジンはR382のGRX3を700psにまで引き上げていたというから、トヨタとの対決が見られなかったのは残念でならない。

日本GPの3連覇を狙って開発されたものの、実戦に出場することはなかったニッサンR383。その車両内容が公表されたのは1976年のことだった。エンジンはR382のGRX3を700psにまで引き上げていたというから、トヨタとの対決が見られなかったのは残念でならない。

ニッサン R383(1970年開発) 

●全長×全幅×全高=4115×2030×1088mm
●ホイールベース2400mm
●エンジン= V型12気筒DOHC(GRX-3型)
●排気量=5954cc
●最高出力=700ps以上
●最大トルク=66.0kgm以上
●車両重量=740kg

日産ヘリテージコレクション

日産自動車の80年あまりの歴史を見ることができるスペース。新型車の開発、試作、設計製作を行う日産の生産技術の拠点である座間事業所内に併設され、1930年代の生産車から歴代のレースカーまで、日産のオンロード、オフロード両面の歴史を物語る車両など約400台の記念車を所蔵し、うち常時約300台を展示している。日産自動車の座間事業所内に併設されているということもあって、公式サイトから応募フォームにより事前申し込みが必要だが、入場料はなんと無料。アクセスはあまり良くないが、行ってみる価値ありだ。

画像1: 日産ヘリテージコレクション
画像2: 日産ヘリテージコレクション
画像3: 日産ヘリテージコレクション

●住所:神奈川県座間市広野台2-10-1 
●入館料:無料(応募フォームにより事前申し込みが必要)●開館日:申し込みカレンダーにて確認 
●駐車場:あり
●問い合わせ先:☎046-298-4355(受付時間:月〜金10:00〜16:00※ただし12:30〜13:30は除く)http://nissan-heritage-collection.com/
●電車でのアクセス:小田急江ノ島線南林間駅から神奈川中央交通バス「日産」「相武台前駅」「小田急相模原駅」行、「ひばりヶ丘1丁目(または小松原)」下車、徒歩7分。または相鉄本線さがみ野駅から相鉄バス「南林間駅」行「ひばりが丘1丁目(または口機入口)下車、徒歩7分
●クルマでのアクセス:東名高速道路「横浜町田インター」から国道16号線を八王子方面へ。国道246号線を左折、東原4丁目交差点を右折、2つめの信号を左折、1つめの信号(正門前専用信号)前が座間事業所2地区正門、約30分
●展示車両は入れ替えあり

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