(ホリデーオート2018年11月号より)
テスタロッサが魅惑的なバルケッタ「ミトス」に。
「PININFARINA Mythos:ピニンファリーナ・ミトス」
1989年の東京モーターショーに突如姿を現した、ピニンファリーナ・ミトス。当時は蜜月関係にあったフェラーリとピニンファリーナは、量産車だけでなく多くのショーカーやコンセプトカーを世に送り出していた。84年に発表されたフェラーリ・ピニン以来、5年ぶりにピニンファリーナの名を冠したフェラーリだった。

グラマラスなリアビュー。リアウイングは車速が100km/h以上になると30cmライズアップする。
ベース車両はテスタロッサだが、イタリア語でオープン2シーターを意味するバルケッタを基本コンセプトとした。あえてソフトトップや折りたたみハードトップなどを与えなかったのは、かつてスポーツカーとレーシングカーが近かった時代のレーシング・フェラーリの多くが、ピニンファリーナの手になるバルケッタ・ボディだったことへの回帰を表現したかったという。

インテリアはテスタロッサとはまったく異なる。左右一体風のバケットシートにサベルトの4点式シートベルトが備わる。
ミトスの美しいデザインは、日本をはじめ世界中のデザイナーに衝撃を与えた。デザインスタディゆえにパワーユニットはベースとなったテスタロッサからパワーアップされることはなく、4942ccの排気量はもちろん、390ps/50.0kgmというパワースペックや、ミッションや駆動方式に変わりはなかった。

ミトスの透視図。テスタロッサをベースにしているのが、よくわかる。
車速が100km/h以上になるとフロントのリップスポイラーが30mmせり出し、同時にリアウイングが30cmアップするといった空力デバイスも装着されていた。
ミトスは生産を目的としたモデルではなかったが、このコンセプトは95年にデビューしたフェラーリ F50に引き継がれたと思われる。(文:ホリデーオート編集部)

1989年の東京モーターショーで突然発表されたミトスは、世界中のデザイナーに衝撃を与えた。
ピニンファリーナ・ミトス 主要諸元(1989年)
●全長×全幅×全高:4305×2110×1055mm
●ホイールベース:2550mm
●重量:1250kg
●エンジン種類:水平対向12 DOHC
●排気量:4942cc
●最高出力:390ps/6300rpm
●最大トルク:50.0kgm/4500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:前245/40ZR17・後335/35ZR17

スーパーカー第二黄金期は、ホリデーオート2018年11月号にも掲載されています。