スーパーカーブームの主役はカウンタックだった
クルマ好きな40〜50歳代なら子供の頃にスーパーカーブームに感化されたに違いない。そんな方々には、栃木にある「魔方陣 スーパーカーミュージアム」は当時の思い出が一気に甦ることだろう。
数あるスーパーカーの中にあって、まず語らねばならないのはランボルギーニ カウンタックLP400だろう。ウエッジの効いた未来型デザインは、当時ベルトーネに在籍していた鬼才、マルチェロ・ガンディーニの手になるものだ。シザードアや半分しか開かないウインドウが普通ではないことを感じさせた。
当時、スーパーカーと呼ばれるクルマのほとんどがイタリアンエキゾチックカーだった。普通ならプロトタイプで終わるようなスタイリングを具現化したことで世界的にも注目されていた。デザインが重要視されていた時代、デザイナー個人の手腕が問われていた時代で、カウンタック、ミウラ、エスパーダ、ハラマ、ウラッコ、シルエットなどをデザインしたいベルトーネのガンディーニは、ピニンファリーナ、ギアに所属していた頃のジョルジョ・ジウジアーロなどとともに、大きな注目を集めていた。
ランボルギーニ カウンタックの衝撃は、1971年のジュネーブオートサロンから始まった。まずはプロトタイプのLP500としてデビュー、1973年のジュネーブオートサロンでついにLP400として市販モデルがワールドプレミアを果たしている。
4L V12エンジンをミッドに縦置きし、前方にギアボックス、ドライブシャフトをエンジン下に配する特異な設計はパオロ・スタンザーニの手によるもので、シャシはスペースフレームが採用された。モデル名の「L」は縦置きを、「P」はリアエンジンを、「400」は排気量を示していた。
1978年にオーバーフェンダー付のLP400S、80年代に入ってLP500S、5000S、クワトロヴァルボーレへと進化したが、1990年のランボルギーニ創立25周年記念のアニバーサリーをもって生産を終了。そのコンセプトはディアブロに受け継がれることになる。
もちろん、魔方陣 スーパーカーミュージアムの主役の1台である。
ランボルギーニ カウンタック LP400 (1974年)主要諸元
●全長×全幅×全高=4140×1890×1070mm
●ホイールベース=2450mm
●エンジン=水冷V型12気筒DOHC
●排気量=3929cc
●最高出力=385ps/8000rpm
●最大トルク=36.8kgm/5500rpm
●車両重量=1070kg
●最高速=300km/h
●車両価格=2250万円(1974年当時)
魔方陣 スーパーカーミュージアム
NPO法人 ToSCA(トスカ) 旧栃木駅舎保存会が運営する自動車博物館。取り壊しの危機にあったJR旧栃木駅駅舎を市民の声により現在の場所に移築。「生まれ変わった駅舎をもう一度未来に向けて活躍させたい」との思いから、この博物館が併設された。「魔方陣」とは縦・横・斜めそれぞれのマスの合計がどれも同じになる古来よりあるパズルのこと。クルマをこのパズルに当てはめると、クルマの色・生産国・メーカー・製造年のそれぞれの合計は「スーパーカー」というひとつの答えになるのではないか。そんなクルマの楽しみ方を提案できたらという思いを込めて、多くの人々に愛されるスーパーカーを集め、「魔方陣スーパーカーミュージアム」と名づけられたという。スーパーカー文化の伝承を目的に約30台を展示、それらすべてが動態保存されている。入場料も良心的な設定で、ゆったりとした展示スペースに並べられたスーパーカーたちをじっくり見学したあとは、施設内に置かれたお座敷列車「オロ12 855(吾妻)」の車内でソフトアイスやドリンクを飲みながらスーパーカーたちをゆったりと眺めることもできる。ちなみにソフトアイスは150円、深煎りコーヒー150円(ホット、アイスとも)、アイスティ100円とこちらも良心的だ。
なお、同じ敷地内には山本有三の小説「路傍の石」の主人公、吾一がぶら下がった鉄橋を再現した「吾一の鉄橋」もある。
●住所:栃木県栃木市野中町553
●入館料:大人800円、子供(小学生以下)300円、5歳以下は無料。団体割引等あり
●開館日:金、土、日、祝日のみ開館、開館時間:10時〜17時(最終入館は16時30分)
●駐車場:あり(団体での利用の場合、運動公園駐車場の利用も可能※要事前連絡
●問い合わせ先:☎0282-20-5521
●アクセス:東北自動車道 栃木インターチェンジより約5分。JR両毛線栃木駅より市営バス寺尾線「運動公園入口」下車約12分。東武日光線新栃木駅より市街地北部循環線 「総合運動公園前」下車約11分。
●展示車両は入れ替わる場合あり。駅舎・吾一の鉄橋の見学は無料。
※2020年6月26日時点で魔方陣 スーパーカーミュージアムは休館中(編集部注)