デリカD:5の洗練されたAWCは優れもの!
最初にオフロードコースでD:5に乗ってみる。短いモーグル的なコースで途中いくつかこぶや急坂が設定されている。ものは試しということで、まず2WDで急坂に挑む。
試乗時は午後だったが、午前中に雨が降ったということで若干ウエットな路面のこともあり、途中でスリップして登坂は不可となってしまう。
そこでダイヤルスイッチを右に回し4WDオートを選択すると簡単にクリアした。その後も4WDオートで足りてしまい、4WDロックを必要とする場面は今回はなかった。
トラクションコントロールに、ブレーキLSDを加えた電子制御4WDで多くのシチュエーションをこなし、ロックはあくまでも泥濘地にはまりそうになった時などの、エマージェンシー的な機能と言えそうだ。
実は、オフロードでもっとも印象的だったのは、乗り心地の良さ。ガツンとくる衝撃は皆無で、もの足りないくらい入力が少ない。
電動パワステは操舵力が軽いのはもちろん、キックバックも少なく、従来のオフロードを力でねじ伏せるというイメージのドライビングとは明らかに違っている。
続いて舗装路をD:5アーバンギアで走る。走り出しはアクセルレスポンスも良く、静粛性も高いためにディーゼル車をあまり意識させない。そこからアクセルをぐっと踏み込めば、太いトルクで前に出る。圧縮比を下げて、最高出力は従来より下がっているが、ECUの制御で中回転域重視にしたメリットを感じることができた。
ただ、アクセル開度が深くなると、カリカリというディーゼル独特のエンジン音は発生する。8速ATは、クロスレシオとなっており伝達ロスを感じさせずにアクセル開度とスピードに応じて小気味良くシフトアップしていく。
コーナリングに関しては4WDオートでの走りの良さが目立った。当初、おそらく2WDの方が舗装では軽快に走るだろうと考え、4WDである程度走った後に2WDに切り替えてみたが、同じスピードでもアウトに持って行かれる挙動が強く出た。
その後、再び4WDに戻すと安定してコーナリングする。この辺は、基本はFFのスタンバイ4WDとはいえ、三菱がこれまで熟成してきた電子制御4WDの効果が出ているところ。
ステアリングはオフロード同様に軽いが、舗装を走る分にはいい感じだ。3回転弱のロックtoロックも良い。普通のワインディングならば、9時15分の位置から持ち替えることなく走ることができるし、パドルシフトとも合わせて、その気になればスポーツカー的なドライビングも楽しめる。
現実的なファミリーでの使いかたを考えれば、週末以外は奥さんが買い物などで使用するということも多いだろう。腕っぷしの強い男だけが乗るのではなく、普段使いするのであれば、このハンドルの軽さは望ましい。さらに4WDオートに入れておけば、大雨や突然の雪などにも安心だ。(文:飯嶋洋治/写真:井上雅行)
デリカD:5 Gパワーパッケージ(アーバンギア Gパワーパッケージ) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4800×1795×1875mm
●ホイールベース:2850mm
●重量:1960kg(1950)
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:2267cc
●最高出力:145ps/3500rpm
●最大トルク:380Nm/2000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:横置きパートタイム4WD
●税込み価格:408万2400円(420万7680円)※価格はホリデーオート調べ。