開発は最終段階。日本導入に向けてのインフラ整備の計画も進行
ポルシェはフル電動スポーツカーとなるタイカンの開発が順調であることを発表した。
タイカンは4ドアセダンで独立した4シートを備え、パワートレーンは600ps以上の最高出力を発生し、0→100km/h加速は3.5秒以下を記録する。さらに、最大航続距離は500km以上(NEDC準拠)なのだという。2020年には派生モデルのクロスツーリスモの導入も控えているというから、こちらも楽しみである。
そして現在、量産前の最終テストドライブを世界各国の過酷な環境で行われている。北極圏にも達する氷と雪の大地スカンジナビアでドライビングダイナミックスを、高温灼熱のドバイで耐久性を、そして南アフリカでは連続的なパフォーマンス能力の試験が行われている。これもすでに最終段階のようだ。
タイカンの主なテスト項目
•総走行距離:約600万km。うち200万kmは耐久走行距離
•実施国:アメリカ、中国、アラブ首長国連邦、フィンランドなど30カ国
•気温:マイナス35度~プラス50度
•湿度:20~100%
•標高:海面下85m~海抜3000m
•充電サイクル:さまざまな充電システムを用いて10万回以上
•開発チーム:約1000名のテストドライバー、技術者、エンジニア
さらに、日本での発表は2019年内とし、その翌年2020年から販売を開始する予定だと発表した。
これに向けて2020年半ばからインフラ整備を進めていくとポルシェジャパンも発表。全国のポルシェセンターだけでなく、公共施設への急速充電器を設置してくのだという。この急速充電器は、EVインフラのリーディングカンパニーである「ABB」製の次世代CHAdeMO方式を採用。現在、日本に導入されていない150kWでの急速充電により、80%までの充電を30分以内で済ませることができるという。
「ゼロインパクト ファクトリー」というビジョンを追求する
ポルシェAGは、タイカンの生産工場で新たな試みにも取り組んでいる。それが「ゼロインパクト ファクトリー」の実現であり、そのひとつが、二酸化窒素を吸収する表面技術を外壁に用いるというもの。外壁部品はアルミ製で、表面に二酸化チタンのコーティングが施してある。
このコーティングが触媒となり、汚染粒子を無害物質に分解するのだという。10台分の駐車スペースに木が10本あるのと同程度の吸収効果をもたらすようだ。
そのほかにもバイオガスで稼働する工場や、そこで発生した熱エネルギーを暖房や温水などに変換し、周辺オフィスへと供給するシステムなど、ポルシェでは「ゼロインパクト・ファクトリー」というビジョンに向けて進んでいる。CO2ニュートラルなゼロエミッション車の生産だけでなく、その生産工場での環境対策も追及するという。