昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。1968年発売のマツダ ファミリア ロータリークーペ。

高性能を大衆のものとした、初のロータリーエンジン量産車

マツダ ファミリア ロータリークーペ:昭和43年(1968年)7月発売

画像: カタログ値だが最高速度は180km/h、0→400m加速は16.4秒と俊足ぶりが謳われていた。

カタログ値だが最高速度は180km/h、0→400m加速は16.4秒と俊足ぶりが謳われていた。

1968年(昭和43年)7月、ファミリア1000/1200のシリーズにロータリーエンジン(以下、RE)を搭載したクーペが追加された。前年の1967年秋の東京モーターショーに出品された試作モデル「RX85」を市販化したもので、ファミリア ロータリークーペと名づけられた。

画像: 10A型ロータリーエンジンは低速域での使いやすさを狙ったポートタイミングの採用により最高出力は100psに抑えられた。

10A型ロータリーエンジンは低速域での使いやすさを狙ったポートタイミングの採用により最高出力は100psに抑えられた。

東洋工業(現マツダ)では67年5月から国産初のRE搭載モデルとしてコスモスポーツを発表していたから、RE搭載の第2弾がこのファミリア ロータリークーペであった。

エンジンはコスモに搭載された491cc×2ローター、128ps(68年7月にデビュー時の110psから出力アップ)の10A型REをデチューンし、100psとしたものを搭載した。

画像: スポーツ性を強調したT型のインストルメントパネル。タコメーターは6500からイエロー、7000からレッドで、オーバーレブを知らせるブザーが付いていた。

スポーツ性を強調したT型のインストルメントパネル。タコメーターは6500からイエロー、7000からレッドで、オーバーレブを知らせるブザーが付いていた。

それでも850kgの軽量ボディと組み合わされた10A型REの動力性能はめざましく、最高速は180km/h、0→400m加速は16.4秒という2Lクラスをしのぐ実力を見せつけている。もちろんサスペンションも強化され、フロントにはディスクブレーキが標準となっていた。

画像: 丸型テールランプが特徴的なリアビュー。当時はウインカーはオレンジではなく赤だった。

丸型テールランプが特徴的なリアビュー。当時はウインカーはオレンジではなく赤だった。

ファミリアは1969年から海外レースにも出場して、数々の上位入賞を果たしているが、その主力はもちろんファミリアロータリークーペであった。

1970年3月、ファミリアはマイナーチェンジでファミリアプレスト・シリーズに移行。10A型RE搭載車も、そのままプレストロータリーとなったが、1973年7月、フルモデルチェンジに伴い生産は打ち切られた。

昭和の名車のバックナンバー

ファミリア ロータリークーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3830×1480×1345mm
●ホイールベース:2260mm
●重量:805kg
●エンジン型式・種類:10A型・直2ローター
●排気量:491cc×2
●最高出力:100ps/7000rpm
●最大トルク:13.5kgm/3500rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:6.15-13-4PR
●価格:70万円

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