ハードサスを装備した“S”は、小さなリアルスポーツカーだった
トヨタ スターレット 1300 3ドアS:昭和53年(1978年)2月発売
これ以降のスターレットに継承されていくことになる2BOXスタイルが確立されたのが、スターレットとしては第2世代となるKP61型。開発コンセプトは、もちろん小型大衆車としての機能性を追求することだったのだが、トヨタはこれにスポーティグレードとしてSモデルを設定し、好評を博している。
搭載されたエンジンは従来型のストロークアップで1.3Lとした直列4気筒 OHVの4K-U型。72ps/5600rpmの最高出力も相当に魅力的な数字だったが、さらに1300Sの評価を絶対的なものとしたのは、わずか710kgに抑えられた車重だった。
サスペンションもフルモデルチェンジに伴って、大きくその構成を変化させている。フロントは一般的なマクファーソンストラットだが、リアには4リンク式が新たに与えられることになった。
ステアリングはラック&ピニオン方式。現在では当たり前の機構だが、実にトヨタが量産車種の分野でこれを採用するのは、トヨタ2000GTを別格とすれば、このスターレットが最初の試みであった。
スターレット1300Sの走りは軽量なボディと素直なハンドリング特性に象徴される。このSグレードに装備されたタイヤは他グレードの12インチに対して13インチ、さらにサスペンションもハードなセッティングとされていたため、ワインディングロードでの走りは純粋なスポーツカーに近いフィーリングにまとめられていた。モータースポーツシーンでの活躍は周知のとおりである。
トヨタ スターレット 1300 3ドアS 主要諸元
●全長×全幅×全高:3725×1525×1370mm
●ホイールベース:2300mm
●重量:710kg
●エンジン型式・種類:4K-U型・直4 OHV
●排気量:1290cc
●最高出力:72ps/5600rpm(グロス)
●最大トルク:10.5kgm/3600rpm(グロス)
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:145SR13
●価格:82万1000円