昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は、昭和53年発売のホンダ プレリュードだ。

スポーツ気分も味わえたプライベートカー

ホンダ プレリュード XR:昭和53年(1978年)11月発売

画像: ワイド&ローなクーペスタイル。テスト値で、最高速度は153.52km/h、0→400m加速は18.69秒を記録している。

ワイド&ローなクーペスタイル。テスト値で、最高速度は153.52km/h、0→400m加速は18.69秒を記録している。

昭和53年(1978年)11月にホンダから発売されたプレリュードは、あらゆる意味で衝撃的なデビューを飾ったモデルだった。まずプレリュードというクルマの位置付け自体が、当時の日本車では非常に珍しい存在だった。

プレリュードは純粋なスポーツカーでもスペシャリティカーでもない、完全にプライベートカーとしての割り切りがこのクルマの各部に表れていた。

画像: 小さめのキャビンでフロント優先のシートのため、リアシートはほとんどプラス2だった。XRとXEにはオプションで写真のコノリーレザーも用意されていた。

小さめのキャビンでフロント優先のシートのため、リアシートはほとんどプラス2だった。XRとXEにはオプションで写真のコノリーレザーも用意されていた。

直線を基調とした2ドアクーペボディもそのひとつだ。オーソドックスなクーペスタイルとしながら、室内は前席まわりの居住性を優先したつくり。ワイド&ローにまとめられたスタイリングは、この割り切りが可能にしたものと考えても間違いではない。

ここで紹介するXRに搭載されたエンジンは、1750ccの直列4気筒SOHC。最高出力は90ps/5300rpmと発表されたが、これも当時としては非常に魅力的な数字だった。組み合されたトランスミッションは、5速MTと3速AT。

シャシまわりでは前後輪にスタビライザーを備えた独自のストラット式4輪独立懸架が採用されるなど、機構面での話題もかなり大きかった。

画像: エンジンはアコードと同じ1.8LのCVCCで90ps(5速MT)だから、パワフルとは言い難い。80年のマイチェンでCVCC-IIに変わり95psにアップした。

エンジンはアコードと同じ1.8LのCVCCで90ps(5速MT)だから、パワフルとは言い難い。80年のマイチェンでCVCC-IIに変わり95psにアップした。

プレリュードは、その名のとおり、新世代のホンダ車の前奏曲だった。このあと(1979年4月)に発売された2代目のシビックには、プレリュードのシャシ、エンジンマウント、メーターなどがほとんどそのまま組み込まれている。

プレリュードは動力性能を別にすれば、そのハンドリング/足まわりは、当時の代表的スポーツカーに勝るとも劣らないものを持っていて、ホンダ技術のショールームのようなクルマと言えた。

画像: スピードメーターとタコメーターを同心円上に配したメーターデザインが特徴的なインパネ。

スピードメーターとタコメーターを同心円上に配したメーターデザインが特徴的なインパネ。

日本で新しいセグメントを確立したばかりでなく、トータル性能に優れた走りを満喫できるスポーティモデルとして登場したプレリュードは、その後の日本車に大きな影響を与えた、まさに1970年代後半の日本車を語るうえで欠かせない存在である。

画像: 写真のXEとXRは日本車では初めて電動サンルーフが標準装備された。

写真のXEとXRは日本車では初めて電動サンルーフが標準装備された。

ホンダ プレリュード XR 主要諸元

●全長×全幅×全高:4090×1635×1290mm
●ホイールベース:2320mm
●重量:900kg
●エンジン型式・種類:EK型・直4 SOHC
●排気量:1750cc
●最高出力:90ps/5300rpm
●最大トルク:13.5kgm/3000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70SR13
●価格:138万円

昭和の名車のバックナンバー

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