昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和54年発売の三菱 ミラージュ 1600GTだ。

独自のスーパーシフトと88psエンジンで俊足

三菱 ミラージュ 1600GT:昭和54年(1979年)3月発売

画像: ちょっと日本車離れしたスタイリングはコンパクトで可愛かった。0→400m加速はテスト値で17.94秒を記録している。

ちょっと日本車離れしたスタイリングはコンパクトで可愛かった。0→400m加速はテスト値で17.94秒を記録している。

昭和53年(1978年)3月に発売されたミラージュは1.2Lと1.4Lの設定だったが、翌79年の3月に高性能モデルの1600GTが追加設定された。

搭載されたエンジンは、車名が示すとおり1597ccの排気量を持つ直列4気筒SOHCで、これは基本的にはギャラン シグマやランサーなどに共通するもの。ただしこれらの車種で採用されていたサイレントシャフトは装着されていない。

画像: 1400系に搭載されたオリオン エンジンでなく、ランサーのサターン エンジン/G32型が横置きされる。ロングストロークで低回転から粘り強い。

1400系に搭載されたオリオン エンジンでなく、ランサーのサターン エンジン/G32型が横置きされる。ロングストロークで低回転から粘り強い。

最高出力、並びに最大トルクは、それぞれ88ps/5000rpm、13.5kgm/3000rpmと発表された。これは従来から設定されていた1.4Lユニットと比較して、最高出力で6ps、最大トルクで1.4kgmの増強というスペックであった。

組み合わされたトランスミッションは、スーパーシフトと呼ばれる三菱独自の副変速機を持つ4速MTで、ギアレシオなどは1.4Lと完全に共通している。

サスペンションも、エンジン出力の向上に伴ってハードセッティングにアレンジし直された。フロント側ではスタビライザーの径が拡大されたほか、コイルスプリングとダンパーがよりハードなものにされている。リア側も基本的には同様の処理だが、スタビライザーが標準装備となった点が非常に興味深い。ステアリングのギア比もよりクイックなものになった。

画像: ステアリングデザインはGT以外のモデルと変わらないが、グリップは太くウレタンで握りやすい。

ステアリングデザインはGT以外のモデルと変わらないが、グリップは太くウレタンで握りやすい。

1600GTに設定されたボディは2ドアと4ドアの2種類。世界のFWD2ボックスモデルの規範たるVWゴルフに高性能バージョンのGTIが設定されたのと同じように、このミラージュ 1600GTもコンパクトなボディとその高性能ぶりで高い人気を博した1台である。

画像: シートとドアトリムに使われているチェック生地は2ドアのみの装備。フロントシートにはGT専用の構造と材質を使用していた。

シートとドアトリムに使われているチェック生地は2ドアのみの装備。フロントシートにはGT専用の構造と材質を使用していた。

1982年2月、ミラージュはイメージをそのまま受けつぎフルモデルチェンジされて、ミラージュIIとなる。シリーズ中のホットモデルはG12B型オリオン エンジンに三菱重工製TC-04ターボチャージャーを組み込んだ1.4Lターボモデル。

最高速度はノーマルの82psに対し105psを発生した。価格は118万6000円。テスト値で最高速度は168.22km/h、0→400m加速は16.56秒を記録している。

画像: 1982年2月にフルモデルチェンジされてミラージュIIとなり、ターボモデルも設定された。

1982年2月にフルモデルチェンジされてミラージュIIとなり、ターボモデルも設定された。

三菱 ミラージュ 1600GT 2ドア 主要諸元

●全長×全幅×全高:3790×1585×1350mm
●ホイールベース:2300mm
●重量:830kg
●エンジン型式・種類:G32B型・直4 SOHC
●排気量:1597cc
●最高出力:88ps/5000rpm
●最大トルク:13.5kgm/3000rpm
●トランスミッション:4速MT×2(副変速機)
●タイヤサイズ:155SR13
●価格:98万2000円

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