昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和54年発売のいすゞ ジェミニZZだ。

「ダブルズィー」の愛称で親しまれたDOHCスポーツ

いすゞ ジェミニZZ:昭和54年(1979年)11月発売

画像: 端正なデザインの2ドアクーペ。テスト値で、最高速度は167.25km/h、0→400m加速は16.86秒を記録している。

端正なデザインの2ドアクーペ。テスト値で、最高速度は167.25km/h、0→400m加速は16.86秒を記録している。

GMのグローバルカー(世界戦略車)構想の一環として昭和54年(1974年)に誕生したいすゞ ジェミニは、当時の西ドイツではオペル ブランドとして、またイギリスではボグゾール ブランドと、前後して世界各国での販売が開始されたモデルであった。

そのジェミニに「ZZ(ダブルズィー)」と呼ばれるスポーツグレードが追加されたのは、翌1979年11月のこと。古くは1800cc時代の117クーペにまで基本的な設計を遡ることができる1817ccの直列4気筒DOHCエンジンを搭載した。このパワーユニットは電子制御燃料噴射の採用により、実に130ps/6400rpmという魅力的な最高出力値を得ていた。

画像: 117クーペにも搭載されていたG180WE型エンジンは130psを発生する。ブルーのカムカバーが鮮やかだ。

117クーペにも搭載されていたG180WE型エンジンは130psを発生する。ブルーのカムカバーが鮮やかだ。

電子制御燃料噴射の採用は、もちろん排出ガス規制をクリアするための策だった。エンジンの出力向上に伴ってサスペンションはよりハードなものとなり、リアスタビライザーや4輪ディスクブレーキも新たに採用された。

メカニズム面では、さらにクロスレシオの5速MTやオイルクーラー、そしてリミテッドスリップデフのオプション設定などもあり、その戦闘力を高く評価されたジェミニZZは、ラリーシーンに数多く持ち込まれて活躍した。

画像: ブラック一色のスパルタンな室内。シフトノブもガングリップタイプと呼ばれるもので、シフトストロークが短くタッチもいい。

ブラック一色のスパルタンな室内。シフトノブもガングリップタイプと呼ばれるもので、シフトストロークが短くタッチもいい。

ZZに設定されたボディはクーペとセダンの2種類。いずれも端正なデザインの中にスポーティな躍動感を感じさせるスタイルであった。グレードは、スポーティ装備のR、豪華仕様のTが選べた。1980年3月には豪華版のLも登場した。

ジェミニがRWDの駆動方式を採用したのは、この初代だけだった。その後、惜しまれながらもジェミニは実用性を重視したFWDモデルへの発展を遂げるのである。初代PF60型ジェミニは、歴代モデルの中でも最も魅力的に感じられる1台だ。

画像: ZZにはクーペと同時にセダンも設定された。4ドアで後席の居住性も高く、走りと実用性を両立していた。

ZZにはクーペと同時にセダンも設定された。4ドアで後席の居住性も高く、走りと実用性を両立していた。

ジェミニ・クーペ ZZ/R 主要諸元

●全長×全幅×全高:4235×1570×1340mm
●ホイールベース:2405mm
●重量:975kg
●エンジン型式・種類:G180W型・直4 DOHC
●排気量:1817cc
●最高出力:130ps/6400rpm
●最大トルク:16.5kgm/5000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70HR13
●価格:151万2000円

昭和の名車のバックナンバー

This article is a sponsored article by
''.