スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

LAMBORGHINI Espada:ランボルギーニ エスパーダ(1968-1978)

画像: 全長は4.7mオーバー、全幅も1.8mオーバーと、当時のモデルとしては大柄な4シーター クーペ。丸型4灯ヘッドライトの顔つきも独特だった。

全長は4.7mオーバー、全幅も1.8mオーバーと、当時のモデルとしては大柄な4シーター クーペ。丸型4灯ヘッドライトの顔つきも独特だった。

ランボルギーニ社の創始者、フェルッチオ・ランボルギーニはトラクター製造で成功。趣味で手に入れたフェラーリの仕上がりに不満を持ち、フェラーリの総帥エンツォ・フェラーリを訪ねたところ門前払いされ、それならと自分でスーパーカーを作ろうと始めたのがランボルギーニのクルマ…という逸話は都市伝説のようだが、フェラーリをライバル視してランボルギーニ車が作られたことは間違いない。

そんなランボルギーニは2シーターFRクーペの350GTで1964年にクルマづくりを始め、その系譜は1970年に発表されたハラマへとつながる。一方、1966年に広告塔的なミッドシップ2シーター スポーツのミウラを世に送り出しながら、それとは別に4シーター モデルの展開も画策していた。それが、ここで紹介するエスパーダだった。

画像: ラグジュアリー感が強いコクピットだが、スピードメーターは300km/h、タコメーターは10000rpmまで刻まれる。

ラグジュアリー感が強いコクピットだが、スピードメーターは300km/h、タコメーターは10000rpmまで刻まれる。

エスパーダとは、スペイン語で「剣」の意味。1968年に発表されたエスパーダだが、当初はエンジンのミッドシップ搭載も検討された。まず、ランボルギーニ伝統のV12 DOHCの片バンクを使った直列6気筒をリアに積む4シーターのコンセプトカー、マルツァルを1967年のジュネーブ モーターショーで発表した。

だが結局、現実的なFRレイアウトとV12をそのまま使う、エスパーダが開発された。ボディデザインは、ベルトーネに在籍していた鬼才、マルチェロ ガンディーニ。マルツァルのモチーフを生かして、スーパーカーそのものの低い車高のスタイリングとしながら、れっきとした4シーターを実現している。

画像: ボンネットというよりも、フロントカウルと呼びたいエンジンフード。4LのV12 DOHCはオーバーハング後半に収まり位置は悪くない。

ボンネットというよりも、フロントカウルと呼びたいエンジンフード。4LのV12 DOHCはオーバーハング後半に収まり位置は悪くない。

フロントに搭載される4LのV12 DOHCの最高出力は、バージョンによって異なるが325psから350psを発生した。4人の家族と荷物を載せて最高速度は250km/hに達するエスパーダは、究極のファミリーカーと呼べるかもしれない。後期型では、パワーステアリングやクライスラー製の3速ATも採用された。

エスパーダは1978年にランボルギーニ社が倒産するまで、11年間で1227台が生産された。スーパーカーとしては、かなりのロングセラーモデルでもあった。

画像: このアングルから見ると、リアシートやラゲッジスペースがよく分かる。後方視界を向上させるウインドーも備わる。

このアングルから見ると、リアシートやラゲッジスペースがよく分かる。後方視界を向上させるウインドーも備わる。

ランボルギーニ エスパーダ 400GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4740×1860×1185mm
●ホイールベース:2650mm
●車重:1510kg
●エンジン形式・排気量:60度V12 DOHC・3929㏄
●最高出力:350ps/7500rpm
●最大トルク:40.0kgm/5500rpm
●燃料タンク容量:95L
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205VR15

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