スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

MASERATI Indy:マセラティ インディ(1969-1974)

画像: FRらしいロングノーズのスタイルはミケロッティのデザイン。

FRらしいロングノーズのスタイルはミケロッティのデザイン。

マセラティは1914年にマセラティ兄弟が創業した、イタリアの高級スポーツカーメーカーだ。その歴史は100年以上に及ぶのだが、現在はFCA(フィアット クライスラー オートモビルズ)の傘下に収まっている。

マセラティ社は、かつては“スーパーカー メーカー”としては老舗的な存在だった。1970年代後半の第一次スーパーカー ブームのときは、メラクやボーラといったミッドシップのスーパーカーが、カウンタックやフェラーリBBなどとともに人気を集めていた。

画像: テールをカットしたファストバックスタイル。ラゲッジスペースもけっこう広かった。

テールをカットしたファストバックスタイル。ラゲッジスペースもけっこう広かった。

ここで紹介するインディは、1969年のジュネーブ モーターショーで発表された。もっとも、その前年の1968年のトリノ モーターショーで4シータークーペのコンセプトカーが発表されていたが、それがインディのルーツでもあった。インディという車名は、あのインディ500マイルレースに1939、1940年と2年連続でマセラティ車が優勝したことに由来している。

インディはマセラティ社の中級モデルにあたり、派手さでうるようなモデルではなく、フロントに搭載されるエンジンも4.2L(正確には4136cc)のV8ながら最高出力は当初260psと低く抑えられていた。とはいえ、それまでの中級モデルが2シーターだったのを+2的とはいえ4シーターにし、エンジンも6気筒ではなくV8をおごるなど、新しい展開だった。

画像: フルレザーに覆われて、スーパーカーというよりはGTカー的なインテリア。

フルレザーに覆われて、スーパーカーというよりはGTカー的なインテリア。

スタイリングも先に登場したギブリに準じた、いかにもスーパーカーらしい新感覚のものだった。デザインは、当時カロッツェリア ヴィニャーレに所属していたジョヴァンニ・ミケロッティが手がけた。ファストバックのクーペボディはテールがカットされ、FRらしいロングノーズの先端には当時のスーパーカーのお約束的なリトラクタブル ヘッドライトも採用していた。

スポーツカーの老舗マセラティらしい気品あるスタイルと、それに見合った高級なインテリアも魅力的だった。内装はフルレザーで、ナルディ製のステアリングにはパワーアシストが付き、ミッションは5速MTが標準だがオプションで3速ATも設定されていた。エンジンも最終的には4.9Lまでアップされた。

リアのラゲッジスペースも広く、実用に耐えるFRスーパーカーだったマセラティ インディは北米市場にも輸出され、1975年の生産終了までに1104台が生産された。

画像: 1970年代のマセラティはボーラなどのミッドシップカーが有名だが、V8DOHCをフロントに搭載したインディも大人4人が乗れるスポーツクーペとして人気だった。

1970年代のマセラティはボーラなどのミッドシップカーが有名だが、V8DOHCをフロントに搭載したインディも大人4人が乗れるスポーツクーペとして人気だった。

マセラティ インディ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4740×1760×1220mm
●ホイールベース:2600mm
●車重:1585kg
●エンジン形式・排気量:90度V8 DOHC・4136㏄
●最高出力:290ps/5500rpm
●最大トルク:40.0kgm/3800rpm
●燃料タンク容量:100L
●トランスミッション:5速MT/3速AT
●タイヤサイズ:205VR14

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