時代のひとつ先を行ったNDIコンセプト
日産 エクサクーペ:昭和61年(1986年)10月発売
![画像: フロントまわりには先代のイメージは残しているものの、まったく違うコンセプトのクルマとなった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/09/24/bde7f5569858542f46a17c008892929406076b6e_xlarge.jpg)
フロントまわりには先代のイメージは残しているものの、まったく違うコンセプトのクルマとなった。
昭和61年(1986年)10月、日産からユニークなクルマが登場した。パルサーのバリエーションだったパルサーEXAから、独立したモデルとなったエクサである。
エクサはパルサーのシャシとエンジンを流用した軽量スポーティカーだ。ボディ形状は2タイプあって、ノッチバックのクーペと大きなラゲッジスペースがあるグラス風ハッチを持つキャノピーを設定していた。
グレードはクーペ、キャノピーともにタイプAとBがあり、最大の違いはアルミホイールの有無とタイヤサイズ(タイプAは185/60R14、タイプBは195/60R14サイズ)だ。キャノピーの良さはやはりラゲッジスペースの広さだが、ほとんどのユーザーはスタイルの好みでどちらかを選んでいたようだ。
![画像: クーペ、キャノピーともTバートップとなっており、リアのハッチを取り外せばコンバーチブルの開放感が得られた。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/09/24/efed7d05a02c16c945b5b2d839eb7afb153f1ccf_xlarge.jpg)
クーペ、キャノピーともTバートップとなっており、リアのハッチを取り外せばコンバーチブルの開放感が得られた。
エクサの最大の特徴は、このリアスタイルだ。Bピラーから後方トランクリッドまでの部分が脱着式のため、前席上のTバールーフとこのリア部を外せばフルオープン風になったのだ。
またオプションでキャンバスハッチも用意されていた。1988年5月には、廉価版のタイプXとスポーティ仕様のタイプSが追加されている。タイプSはビスカスLSDやエアスポイラー一体カラードバンパーなどを標準装備していた。
クーペとキャノピーのリアハッチ部分は互換性があり、北米仕様では交換が可能だった。つまり、1台のクルマで2つ(コンバーチブル風とTバートップも入れれば4つ)のボディバリエーションを楽しむことができた。
![画像: インテリアのデザインもパルサーの流用ではなく、NDIによる独自のものだった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/09/24/77ec9196f55b694d81edecda039c532a32268e79_xlarge.jpg)
インテリアのデザインもパルサーの流用ではなく、NDIによる独自のものだった。
このような柔軟な発想は、主要輸出先である北米では大いにウケたのだが、日本では運輸省(当時)の認可が下りず、クーペかキャノピーか、どちらかのボディを選ばなければならなかった。これが日本におけるエクサの不運だった。
パルサー譲りのCA16DE型1.6L DOHC16バルブ(120ps)と4輪ストラット式のサスペンションがおりなす乗り心地は、どちらかというとマイルドで峠をギンギンに攻めるようなクルマではなく、雰囲気を楽しむオシャレなクーペだった。スタイリングは米国のNDI(日産デザインインターナショナル)によるもので、リファインを重ねれば長い期間でも通用するほど主張のあるデザインなのだが…。
結局、日本では人気を集めることもなく、1990年8月に姿を消し、エクサの名も消滅してしまった。
![画像: ワゴン風のリアハッチを備えたキャノピー。これも取り外しが可能だった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/09/24/c7ca7fc6ad71275f2b26a88b42300d6a098c54c2_xlarge.jpg)
ワゴン風のリアハッチを備えたキャノピー。これも取り外しが可能だった。
日産 エクサクーペ タイプA 主要諸元
●全長×全幅×全高:4230×1680×1295mm
●ホイールベース:2430mm
●重量:1070kg
●エンジン型式・種類:CA16DE型・直4 DOHC
●排気量:1598cc
●最高出力:120ps/6400rpm
●最大トルク:14.0kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/60R14
●価格:164万円