コンパクトなボディの使いやすさに高いデザイン性とクオリティを盛り込んだ1台。ドイツ車にはない「世界」がそこに広がる。(Motor Magazine 2019年10月号より)

独自の世界観が楽しめる

いきなり「形から入る」と言うと、ネガティブに思えるかもしれない。けれどこのDS3クロスバックに限って言えばぜひ、「まずは形から」惚れ込んで欲しい。

なにしろエクステリアもインテリアも、「攻め」が徹底されている。それも単なるギミックではなく、「フランスの伝統的な美意識」というロジックに裏打ちされた、独特の機能美として完成されたもの。その世界観を存分に楽しむことが、 DS3クロスオーバーのオーナーとしての最大の特権にほかならないからだ。

全長4120mm、全幅1790mm、全高1550mmと、概ね日本でも扱いやすいサイズだ。しかしルックスは、数値以上に大柄に思える。「彫刻的」と謳われる力のこもったアクセントラインによって、セグメントの枠から解き放たれたような強い存在感を生んでいる。

画像: デザインアイコン「DSウイング」にはデイタイムライニングライトを内蔵。縦に連なる光がアクセサリーのように美しい。

デザインアイコン「DSウイング」にはデイタイムライニングライトを内蔵。縦に連なる光がアクセサリーのように美しい。

ふんだんに盛り込まれた先進技術

インテリアに関しては、ダイヤモンド型をモチーフにしたデザインアレンジがとても斬新だ。エンジンのスタート/ストップスイッチまで、実にオシャレな凝ったデザイン。吹き出し口の周囲にはエアコンやオーディオ、ナビゲーションを操作するスイッチが幾何学的に配置されている。

初見では少し使いづらいけれど、個性の強いインターフェイスに馴染んで行くプロセスもまた、DS3クロスバックを乗りこなす楽しみのひとつ、と言ってもいいかもしれない。

画像: 電子制御式ウエイストゲートを採用でレスポンスを向上させた1.2Lピュアテックを搭載。環境性能も高い。

電子制御式ウエイストゲートを採用でレスポンスを向上させた1.2Lピュアテックを搭載。環境性能も高い。

誤解して欲しくないのは、見た目だけ、のファニーカーではないということ。ことメカニズムに関しては、これからのPSAグループの屋台骨となる、さまざまな先進技術がふんだんに盛り込まれている。

とくに注目して欲しいのが、新開発のCMPプラットフォームの出来の良さ。乗り心地の優しさ、高い静粛性、素直なハンドリング性能など、走りのクオリティについてもセグメントの枠から解き放たれている。

130ps、230Nmの1.2L直3ターボと8速ATの組み合わせは決してパワフルとは言えない。けれど、素直で扱いやすい。

毎日誰かに見てもらいたくなる。毎日乗り回したくなる。美意識や価値観まで磨かれていくような気がする。ちょっと大げさなのだけれど、人生観まで変わってしまいそうなオーラを感じた。(文:神原 久)

試乗記一覧

■DS DS3クロスバック グランシック主要諸元

●全長×全幅×全高=4120×1790×1550mm
●ホイールベース=2560mm
●車両重量=1280kg
●エンジン= 直3DOHCターボ
●排気量=1199cc
●最高出力=130ps/55000rpm
●最大トルク=230Nm/1750rpm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=404万円

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