1954年、東京モーターショーの前身である「全日本自動車ショウ」が開催されてから、2019年で65年が過ぎた。そんな東京モーターショーの歩みを、当時のニューモデルやコンセプトカーなど、エポックメイキングなモデルを軸に紹介したい。今回は1983年の第25回ショーを振り返った。

実現性の高い新技術を搭載したモデルが目立つ

自動車産業がハイテク化を背景に輸出を伸ばして好景気に沸いた1983年の第25回ショーは、各社が実現性の高い新技術を搭載した多くのコンセプトカーやプロトタイプを展示し、近未来に向けた提案性に満ちたショーとなったのが特徴だ。また、25回を迎えた記念事業の一環として、技術の変遷、新素材や電子技術の紹介など、クルマの技術的可能性が分かりやすく紹介されている。

■日産 NX-21

21世紀のクルマのあり方を提案したコンセプトカーがNX-21だ。全長4520×全幅1790×全高1280mmのボディでCd値=0.25を達成するため、フラッシュサーフェスはもちろん、ボンネット高を抑えるためRRの駆動方式を採用。しかもリアに積まれるのはエンジンでなく、YTX型2軸式セラミックガスタービンというのが面白い。テスラ モデルXに先駆け、中折れ機構付きガルウイングのバイフォールドドアを提案しているほか、クルマの後方をスクリーンに表示するリアビュープロジェクターも装備するなど、技術者の意欲をそのまま形にしたモデルだった。

画像: 日産 NX-21は中折れ式のガルウイングドアを採用していた。

日産 NX-21は中折れ式のガルウイングドアを採用していた。

■トヨタ FX-1

「技術が先か。夢が先か。エンジニアリング・ロマンチシズムの傑作」と銘打ったフューチャーカー。ニューエアロダイナミックボディはフルフラッシュサーフェス化で空力特性を洗練させ、ドアは乗降性に配慮して横にスライドするユニークなチルト & グライドドアを提案する。エンジンはコンロッドにFRMなど新素材を使ったレーザーα-X型の2Lツインターボ。足まわりは電子制御ハイドロニューマチックサスで、4輪ESCが組み合わされる。さらに室内はカラーCRT & カラー液晶ディスプレイメーター、固定式ステアリングパッドスイッチ、ボイスコマンドシステムなどが搭載され、トヨタの最新技術の結晶という感じに仕上げられている。

画像: トヨタ FX-1は当時のトヨタの最新技術をテンコ盛りに採用していた。

トヨタ FX-1は当時のトヨタの最新技術をテンコ盛りに採用していた。

■マツダ MX-02

「1990年に照準を合わせたファミリーカー」を提案するコンセプトカー。フラッシュサーフェスを追求し、リアホイールハウスにスパッツを装着してCd値=0.25を達成したエアロダイナミクスボディは、ボディパネルにCFRPを採用して軽量化も実現。前端には可動エアダムを装着して高速安定性を高めている。室内では、ヘッドアップディスプレイ、カラー液晶ディスプレイ、マルチディスプレイなど、現代に通じる技術を搭載。「カーエレクトロニクスの将来が見えるアドバンスドコクピット」と自信を見せた。

画像: マツダ MX-02は、1990年代のファミリーカーを目指していた。

マツダ MX-02は、1990年代のファミリーカーを目指していた。

■トヨタ SV-3

4A-G型エンジンをミッドシップ搭載し、すぐにでも市販されそうな姿で登場したスポーツカー。予想どおり、スポイラーなどに若干の手直しを加えて、1984年からMR2として市販化された。

画像: トヨタ SV-3は、ほぼこのままのスタイルでMR2として市販化された。

トヨタ SV-3は、ほぼこのままのスタイルでMR2として市販化された。

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