ヴィッツからヤリスへ、クラスを超えたファーストカーの登場
「いいクルマづくりのカギはコンパクトカーにある」。
1999年、競合ひしめく欧州市場でライバルと闘うために投入されたのが初代ヤリス(国内名:ヴィッツ)だ。確かに安いが性能もそれなりだった当時の国産コンパクト・セグメントに与えた衝撃は今も語り草となっている。同年、トヨタ車として初の欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのも納得だ。
続く2代目(2005年発売)、そして現行型となる3代目(2010年発売・現行型)も世界戦略車として登場。ヤリス・ブランドはすでに世界中で定着している。2017年に復帰したWRCのベースマシンに選ばれたのも当然だ。
そして、満を持して発表された4代目は世界統一名称として「ヤリス」を採用。日本国内でのみ使用されていたヴィッツの車名は現行型をもって消滅することになった。「(大中小というクルマの)ヒエラルキーを再構築するため、ヤリスという名前に統一した」とは豊田章男社長のコメントだ。
実際、プラットフォームからパワートレーンまで一新されたヤリスは、トヨタが総力を挙げて開発したクラスレスの新世代コンパクトカーであり、初代登場のインパクトを思い出させるほどの進化を遂げていた。
パワートレーンは3種類、国内仕様は全車5ナンバーボディを踏襲
では新型のアウトラインを紹介しよう。
搭載されるパワートレーンは3種類だ。新開発の1.5リッター3気筒ハイブリッド(エンジン型式:M15A-FXE)、同じく新開発の1.5リッター3気筒直噴ガソリン(同:M15A-FKS)、そして現行型にも搭載されている1リッター直3ガソリン(1KR-FE)を大幅改良して搭載車を設定している。新開発の1.5リッター直3エンジンはともに、トヨタのTNGA戦略に基づくダイナミックフォースエンジンで、トヨタの新世代直4ユニット(2.5リッター&2リッター)とモジュール設計されている。
プラットフォームもまったくの新規開発。TNGA戦略に基づくトヨタ最小プラットフォーム「GA-B」を採用した初めてのクルマでもある。コンパクトカーに特化したGA-Bは、従来型に比べおよそ50kg軽量化(同クラスハイブリッド車比)を達成するとともに、ねじり剛性は30%以上強化。TNGAプラットフォームに共通する低重心化も盛り込まれ、安全性、快適性はもちろん、ハンドリングも大幅に向上してクラスを超越した走りを実現しているというから楽しみだ。
国内仕様のボディサイズは、全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm、ホイールベースは2550mm。駆動方式はFFと4WD(メカニカル4WD。1.5リッターガソリン車に設定あり)のほか、ハイブリッド車には待望のE-Four(電気式4WDシステム)搭載車も設定される。ボディタイプは欧州仕様も含めて5ドアのみに統一。現行型で欧州仕様に設定されている3ドアはない。
公表されたグレード構成は以下のとおり。
ボディカラーは新色の「コーラルクリスタルシャイン(メーカーop.)」「アイスピンクメタリック」を始め全12色の基本カラーに加え、ルーフ色をブラックまたはホワイトとした2トーンカラーを6色設定した全18タイプのワイドバリエーションとしている。
ほかにも先進の安心安全技術も盛り沢山な新型ヤリス。その詳細は次回以降詳しく紹介していくのでお楽しみに。