ボルボ240ターボが黒船来襲に例えられた1985年のインターTECから1年。1986年のインターTECに姿を見せたのはジャガーXJSだ。ヨーロッパでのデビューから2年が経って旬が過ぎていた感もあったが、名門レーシングチームであるTWR(トム ウォーキンショー レーシング)が持ち込んだということもあり話題となった。

ジャガーXJSは古い?ながらもストレートは速い

画像: 1967年のF1チャンピオンのD.フルムが52号車のステアリングを握ったのも話題となった。

1967年のF1チャンピオンのD.フルムが52号車のステアリングを握ったのも話題となった。

1984年のヨーロッパツーリングカー選手権(ETCC)でチャンピオンタイトルを獲得したのがジャガーXJSだ。自らもドライバーとして活躍しながらTWRを率い、マツダのル・マン24時間レースやスパ24時間レースにも関わったトム・ウォーキンショーが1986年のインターTECに持ち込んだ。

5.3L直6DOHCエンジンはノーマルで最高出力225hp/5000rpm、最大トルク39.7kg/3000rpmを発生するが、1984年のマカオグランプリのグループAレース参戦時には500hp/7500rpmを発生。チューニングに関してはグループAで許される限りの手が入れてあった。

画像: 英国車なので右ハンドル。4本スポークのステアリングにはTWRの刻印。ホーンボタンにはジャガーのエンブレムが入る。

英国車なので右ハンドル。4本スポークのステアリングにはTWRの刻印。ホーンボタンにはジャガーのエンブレムが入る。

サスペンションはベース車と同じフロント/ダブルウイッシュボーン、リア/ウイッシュボーン式を踏襲しているがグループA用の公認パーツを使用して改造されている。アーム類も新たに作り直されゴムブッシュやボールジョイントはピローボールに置き換えて正確な動きを確保している。

リアサスペンションはドライブシャフトがアッパーアームを兼ねたウイッシュボーン式だが、アームの取付位置や形状は変更されている。片側2本ずつのツインショックアブソーバーとなっているのもノーマルと同じだが、パーツはもちろんレース用となっている。

画像: ボルボ240ターボ、ホールデン コモドールを従えて先頭を走るジャガーXJS。初期のインターTECの主役は欧州車勢だった。

ボルボ240ターボ、ホールデン コモドールを従えて先頭を走るジャガーXJS。初期のインターTECの主役は欧州車勢だった。

ブレーキは前後ともにロッキードのベンチレーテッドディスクに交換されており、いわゆるCカーと同じものが装着されていた。

1986年のインターTECでは、すでに2年落ちとなっていたが、ストレートが長い富士には有利という判断で持ち込んだと言われる。予選1回目では余裕のトップタイムをマーク。ところが予選2回目に中谷明彦のスタリオンがそのタイムを更新。それを見たトム・ウォーキンショー自身のドライビングにより再逆転という展開だった。

決勝ではポールポジションの51号車が7周でリタイア、予選3位の52号車が85周でデファレンシャルトラブルでリタイアとなったが、1986年インターTECでもっとも印象に残った一台なのは間違いない。

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