1980年代のクルマといえば、ハイソカー、街道レーサー、そしてボーイズレーサーが人気を博していた。この連載では、ボーイズレーサーと呼ばれた高性能でコンパクトなハッチバックやクーペたちを紹介していこう。今回は「シャレード デ・トマソ ターボ(G11)」だ。

ダイハツ シャレード デ・トマソ ターボ(G11型・1984年1月発売)

画像: 当時、メーカーが手がけたモデルとしては斬新だった。ボディカラーは写真の赤/黒2トーンのほかに白/黒2トーンも設定されていた。

当時、メーカーが手がけたモデルとしては斬新だった。ボディカラーは写真の赤/黒2トーンのほかに白/黒2トーンも設定されていた。

ダイハツがコンソルテの後継モデルとして久しぶりのオリジナル登録車「シャレード」を発表したのは、1977年(昭和52年)11月のことだった。全長3.5mを切るコンパクトなハッチバックボディに、ユニークな3気筒1Lエンジンを搭載し、ダイハツ始まって以来のヒット作となる。

1981年の東京モーターショーには、当時ダイハツからエンジン供給を受けていたイタリアのデ・トマソが手がけたシャレード デ・トマソが参考出品され、注目を集めたが市販化にはいたらなかった。

画像: ブラックを基調にレッド効果的に使った2トーンのインテリア。ステアリングはMOMO製の本革巻き3本スポーク。

ブラックを基調にレッド効果的に使った2トーンのインテリア。ステアリングはMOMO製の本革巻き3本スポーク。

1983年1月、シャレードは2代目にフルモデルチェンジする。先代より少し全高を高めて居住性を考慮したが、コンパクトなボディによるキビキビした走りは引き継がれた。エンジンには世界最小排気量の1Lディーゼルやターボモデルなどをラインアップした。翌1984年12月、ターボモデルをベースにデ・トマソが参画したシャレード デ・トマソ ターボを追加設定した。

エンジンはベース車と同じ最高出力80psと最大トルク12.0kgmを発生する993ccの直3 SOHCターボだったが、フロントにはスポイラー一体の大型バンパー、リアはバックドアスポイラー、そしてサイドスカートや超大型サイドプロテクションモールなどでボディはエアロチューニングされた。またデュアルエキゾーストパイプやボディサイドのDE TOMASO ロゴなどでスポーティさを強調する。

さらに、カンパニョーロ製マグネシウム合金のホイール、ピレリP8タイヤ、MOMO製本革巻き3本スポークステアリングなど、デ・トマソがチョイスしたイタリア直輸入のパーツを満載。レッド/ブラックの2トーン インテリアに専用バケットシートなど、インテリアもイタリアンテイストにあふれていた。

画像: フルファブリックのシートも専用のバケットタイプ。シートバックには「DE TOMASO」のロゴが入る。

フルファブリックのシートも専用のバケットタイプ。シートバックには「DE TOMASO」のロゴが入る。

足回りもベース車と同じだから走りっぷりも基本的に変わりはないが、700kgを切る軽量ボディに80psのターボパワーは必要にして十分。ベース車もそうだったが、かなりのジャジャ馬ぶりを発揮した。なんといってもイタリアンテイストたっぷりの内外装は、ボーイズレーサーでオリジナルのドレスアップを目指すユーザーにとって格好のサンプルとなっていた。

1984年10月、ダイハツはシャレード ターボの排気量を926ccに下げてグループBのホモロゲーションに合わせたラリー用スペシャルマシン「シャレード 926ターボ」を200台生産する。さらに1985年の東京モーターショーには、926ターボのエンジンをDOHC化してミッドシップ搭載した「シャレード デ・トマソ 926」を参考出品する。こちらの市販化を望む声もあったが、初代のシャレード デ・トマソ同様、残念ながら幻に終わっている。

画像: シャレード デ・トマソ ターボは2018年の東京オートサロンに参考出品され、21世紀の最新モデル以上の注目を浴びていた。

シャレード デ・トマソ ターボは2018年の東京オートサロンに参考出品され、21世紀の最新モデル以上の注目を浴びていた。

ボーイズレーサー伝

ダイハツ シャレード デ・トマソ ターボ(1984年)主要諸元

●全長×全幅×全高:3600×1575×1390mm
●ホイールベース:2320mm
●重量:690kg
●エンジン型式・種類:CB-50型・直3 SOHCターボ
●排気量:993cc
●最高出力:80ps/5500rpm
●最大トルク:12.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:165/65R14
●価格:123万円

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