※タイトル写真は、おおよそのサイズを比較できるように両モデルのノーズ先端で位置合わせしています。
ボディサイズは近いが対照的なスタイリングのRAV4とCX-5
トヨタRAV4は乗用車のプラットフォームをベースに開発されたSUVの草分け的存在。代を重ねるごとに乗用車ライクな性格を強め、日本未導入の従来モデルは北米でついに乗用車ベストセラーのカムリを超える販売台数を記録した。現行モデルは大胆にも伝統的SUV路線に回帰したが、これまた大ヒット。勢いは凱旋した日本でも止まらず、一躍SUV月間ベストセラーの座をひた走る。
一方のCX-5は、初代でフレッシュなデザインと国産車で希少なクリーンディーゼルエンジンが支持され、1代で人気SUVの座を確立。現行モデルはそのコンセプトを継承しつつ、内外装や走りの質感を大幅に高めてきた。いま、日系ミドルサイズSUVでとくに魅力的なトップ2の対決だ。
■トヨタ RAV4 ハイブリッドモデルの車両価格
ハイブリッドX(FF):326万1500円
ハイブリッドX(電気式4WD):351万4500円
ハイブリッドG(電気式4WD):388万8500円
■マツダ CX-5 ディーゼルエンジン搭載モデルの車両価格
XD(FF):293万7000円
XD(4WD):316万8000円
XD プロアクティブ(FF):317万3500円
XD プロアクティブ (4WD):340万4500円
XD Lパッケージ(FF):342万6500円
XD Lパッケージ(4WD):365万7500円
※すべて税込
まずはボディサイズ、ホイールベースから比較してみるとその差はわずか10mm。しかし、リアオーバーハングをしっかりとったRAV4の全長が50mmほど長い4600mmと、欧州Dセグメントにあたるサイズ。CX-5も国内ではミドルサイズと言えるが、4545mmという全長は国際基準においてはCとDセグメントの中間にあたる。全幅もRAV4のほうがワイドで、全高はほぼ同じ。
スタイリングは対照的で、RAV4はSUVの乗用車路線に一石を投じるエッジの効いたオフローダー的雰囲気が、確かな存在感を放つ。ただし、最低地上高を比較するとCX-5の方が高い。滑らかな線と面が織りなすボディは逞しさとともに、美しさでも見る者を惹きつける。CX-5の走りの印象は外観どおり乗用車的で、ステアリングホイールから伝わってくる密な接地感を感じさせてくれる。ただし、RAV4のハンドリングと乗り心地はさらに好バランスだ。
後席ニールームの広さでは、ホイールベースの10mm長いCX-5の有利かと思いきや、RAV4が若干上まわる。どちらのモデルもフロントノーズをしっかり出して、まるでFRのようなロングノーズプロポーションを演出しているが、CX-5はそれをいっそう強調したデザインになっている。そのため、室内長では不利だ。とはいえミドルサイズSUVに求められる余裕を確保しており、シートサイズは欧州勢に見劣りしないほどタップリしている。
違いの大きな点といえばラゲッジルーム容量だ。リアタイヤ中心からボディ後端までの長さにあたるリアオーバーハングの短いCX-5は荷室のサイズでも不利で、ミドルサイズSUVの中でもやや小さい505L。かたやRAV4は580Lと、クラス最大級の大きさを備えている。
安全運転支援システムの充実さはほぼ互角か
RAV4の「トヨタセーフティセンス」、CX-5の「iアクティブセンス」ともに単眼カメラとレーダーを使った主流の方式で、機能・性能ともに充実かつ拮抗。細かく見ると、走行時の衝突被害軽減ブレーキは両車とも昼夜の歩行者を検知し、RAV4はさらに昼間の自転車まで対応する。全車速追従クルーズコントロールのステアリング支援が渋滞でも可能な「レーントレーシングアシスト」も、RAV4の強みだ。CX-5はハイビームの照射範囲をきめ細かく制御する「アダプティブLEDヘッドライト」が、夜間運転の安心感をいっそう高める。
ハイブリッドモデルのRAV4か、ディーゼルモデルのCX-5か
RAV4のハイブリッド車(HV)は2.5Lエンジンとの組み合わせ。モーターアシストが渾然一体となった大トルクとシステム出力222ps(FFは218ps)のハイパワー、実勢に近いWLTCモードで20km/L台をマークする低燃費の両立は、HVならではの魅力だ。駆動方式は後輪をモーター駆動する電気式4WDの「i-Four」を主力にしている。RAV4はリア重視の駆動トルク配分を可能として、オンロードでもFRに近いハンドリングを楽しめる。
その一方、CX-5の2.2Lディーゼルも負けず劣らず。4.5Lガソリンエンジン並みの大トルクを低回転で発生する迫力はRAV4を凌ぎ、パワーも伸びやか。燃費のよさも高速巡行ではHV顔負けで、しかも軽油はレギュラーガソリンより20円/Lほど安い。FFベースの「iアクティブAWD」は、前後トルク配分を最大で50:50とするが、この駆動力制御もクラストップレベルだ。悪路でスタック時の脱出性を高める「オフロードトラクションアシスト」の追加も頼もしい。
4WDのトップグレード同士では、RAV4ハイブリッドGがCX-5 XD Lパッケージの約23万円高。それぞれディーラーオプションのナビ装着でさらに10万円以上広がるが、その分はエコカー減税などの優遇でほぼ相殺される。アクティブ&カジュアルなRAV4か、華麗で洗練されたCX-5か。デザインや実用性に応じてどちらを選んでも満足感に浸れる、ちょっと贅沢なミドルサイズSUVなのだ。(文:戸田治宏)
トヨタ RAV4 ハイブリッド G 主要諸元
●全長×全幅×全高=4600×1855×1685mm
●ホイールベース=2690mm
●車両重量=1690kg
●パワートレーン=直4 DOHC+2モーター
●排気量=2487cc
●エンジン最高出力=178ps/5700rpm
●エンジン最大トルク=221Nm/3600-5200rpm
●モーター最高出力=前120ps/後54ps
●モーター最大トルク=前202Nm/後121Nm
●駆動方式=電気式4WD
●トランスミッション=電気式無段変速機
●車両価格=388万8500円
マツダ CX-5 XD Lパッケージ(4WD) 主要諸元
●全長×全幅×全高=4545×1840×1690mm
●ホイールベース=2700mm
●車両重量=1670kg
●エンジン=直4 DOHCディーゼルターボ
●排気量=2188cc
●最高出力=190ps/4500rpm
●最大トルク=450Nm/2000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=6速AT
●車両価格=365万7500円