市販に向けて最終調整が進められているメルセデス・ベンツの新型Eクラスに触れる機会を得た。開発担当マネージャーのミヒャエル・ケルツ氏との同乗試乗を経て、新型もセグメントの最先端を走り続けるモデルであると確信した。(Motor Magazine 2020年3月号より)

これが次世代のデザインエレメント

メルセデス・ベンツEクラスは、そのルーツである1946年製の戦後初のタイプ170から数えるとすでに1400万台も売れている、同社の中核をなすモデルである。ところでEクラスという名称は、正確には1993年5月にW124のフェイスリフトが行われた時から与えられた。

現行Eクラス(W213)は2016年から市場に投入されているが、その人気は根強く、2019年のドイツ市場での販売台数は4万9683台で総合位、アッパーミドルクラスの1位に入っている。

さて、この人気モデルも登場から4年目となりフェイスリフトの時期を迎え、現在世界各地で最終的な公道テストを行っている。私達は、アメリカ、ネバダ州ラスベガス郊外のレッドロックキャニオンでテスト中の新型Eクラスに同乗試乗するチャンスを与えられた。

指定された集合場所は有名な観光名所で、スパイフォトグラファーに遭遇するのが気になったが、ブルーとホワイトの新しい手法のカモフラージュは派手さはなく、意外と周囲に溶け込んでいた。撮影現場付近の人たちもこれがニューモデルのプロトタイプだとは思わなかったようだった。

まずは、トータルビークルデベロップメントリーダーのミヒャエル・ケルツ氏が外観デザインから説明を始めた。最も大きな変化は特徴的なヘッドライトだ。テーピングが施されていたが、明らかに現行Aクラスのような角形、切れ長で、吊り上がった形状をしている。一方、リアコンビネーションライトは現行モデルの異形楕円からヘッドライトに呼応させた横長のデザインになるはずだ。

インテリアはスタンダード仕様でも縦2インチ、幅10.25インチの大型スクリーンに「ヘイ、メルセデス!」で起動するMBUX(ユーザーエクスペリエンス)を搭載する最新のコマンドシステム「NTG6」が搭載されている。

さらにステアリングホイールのデザインも一新され、AMGスポーツ仕様では水平スポークが2本に分かれたちょっと変わった4スポークデザインが与えられている。もちろんこれまでどおり親指での操作は可能だ。

画像: ホワイト&ブルーのカモフラージュが目新しい新型Eクラスのプロトタイプ。

ホワイト&ブルーのカモフラージュが目新しい新型Eクラスのプロトタイプ。

2L直4+ISGの48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載

さて、ボンネットを開けると新しいパワーユニットが現れる。このテスト車に搭載されていたのは、開発コードM254を与えられたガソリン仕様のアルミ製2L 4気筒ターボで、ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)をクランクに直結した48Vのマイルドハイブリッドシステムが組み込まれている。

このISGも、他のモデルと同様に三菱電機製だが、6気筒エンジン車と違う点は完全なベルトレスではなく、コストセーブのためにエアコンのコンプレッサーはベルトで駆動するタイプとなっている。

エンジン本体はナノスライドコーティングやカムトロニック(インテーク可変バルブシステム)を持つハイテクエンジンである。目標パフォーマンスは最高出力200kW(エンジン本体)+15kW (ISG)と言われている。もちろん6気筒ガソリンエンジン(M256)も用意されており、こちらはすでにAMG GTなどに搭載されてお馴染みの機種で、エアコンコンプレッサーはギア駆動である。またPHEVも、4マティックも含め合計7機種用意されている。

ADAS(先進運転支援機能)は、ネクストレベルインテリジェントドライブと名付けられ、トップレベルの性能を持つ。たとえばアクティブクルーズコントロール、ディストロニックではほぼ手放し状態で、激しい逆光の下でもアメリカ独特のキャッツアイを正確に読み取り、レーンをトレースして行く。

フェイスリフトされた新型Eクラスは間違いなくこのセグメントのトップを維持するに違いない。正式発表は3月に開催されるジュネーブショーで、欧州内での発売もその後に開始される。日本での発売開始は早くても夏頃になるだろう。(文:木村好宏)

画像: ワイドスクリーンディスプレイにはMBUXのマルチメディアシステムが搭載されている。

ワイドスクリーンディスプレイにはMBUXのマルチメディアシステムが搭載されている。

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