2004年に登場した初代X3(E83)にラインアップされていたX3 2.5i(当時はxDriveのネーミングはつかなかった)と、2005年に発表された5代目BMW3シリーズ(E90)に設定された330xi。前後の重量バランスを50:50にすることで4輪すべてのタイヤに均等に荷重をかけるというBMWのパッケージへのこだわりは、後輪駆動だけでなく4WDでも高いハンドリング性能を実現することにつながっていた。Motor Magazine誌では、この2台をとおして、後輪駆動にこだわるBMWだからこそ実限できた4WDのダイナミズムを検証している。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年2月号より)

モデル名が330ixから330xiになった理由とは

3シリーズの4WDの歴史はE30時代の325ixから始まっている。当時は車高が数センチ高くなっていて、プラスチックのオーバーフェンダーも付いていたから、外観からすぐに4WDだとわかった。最新3シリーズの4WDは330xiと呼ばれるが、E90になってからの330xiはノーマルの330iと車高も同じになり、外観から識別はトランクリッドのバッジが頼りだ。

BMWではXを4WDのアイコンとして使っている。X3は、すべてのラインアップが4WDだからXというネーミングなのだ。これはX5も同様。3シリーズの場合、昔はixと呼ばれていたのに現在はxiとアルファベットが逆になった。その理由は、Xというシステムが先にあるという意味だ。4WDをFRの3シリーズの派生として捉えているのではなく、あくまでも3シリーズの4WDがあって、そこに付随したエンジンバリエーションが存在するということだ。

話は横道にそれるが、7シリーズのケースでも同じことが言える。こちらは4WDではなくボディの長さだ。呼び方としてはiLとLiの違いだ。最新のものはLが先になった。ロングボディはショートボディの延長版ではなく、ロングボディとして自立していることを強調したいのである。

画像: 冬場は陽が当たらない場所では路面が凍っていて一瞬ヒヤリとさせられるが、330xiとX3の2台はなんの違和感もなく走り抜けていった。

冬場は陽が当たらない場所では路面が凍っていて一瞬ヒヤリとさせられるが、330xiとX3の2台はなんの違和感もなく走り抜けていった。

エンジンのトルクを100%4輪に伝えるxDrive

昔のBMWのフルタイム4WDはプラネタリーギアとビスカスカップリングの組み合わせで4輪を制御していた。しかし最新の技術により電子制御で多板クラッチをうまく制御することができるようになり、より効率よくフルタイム4WDを使うことができるようになった。プラネタリーギアのときには前後のトルク配分は38:62だったが、xDriveでは40:60になった。

ただし、これはあくまでもイニシャル(最初の設定)であって、どこかのタイヤで空転が始まるとこの配分は変化する。極端にいえば前後トルク配分が0-100と100-0ということがありえる。

0-100は完全なFRでコーナーの入り口でターンインしやすくするためにフロントに駆動力を伝えないケースである。逆の100-0はリアがアイスバーン上とかタイヤが浮いている状態だ。エンジンのトルクがすべてフロントに回っているような場合である。トランスミッションの後端にある多板クラッチの密着度合いによって、トルクが取り出されトランスミッションの左側を通りフロントに駆動力が伝わっていくのである。

多くのFFベースの4WDの場合、100-0はありえても0-100はほとんどない。リアの駆動力はあくまでもフロントの補助であって、そう大きな駆動力を伝えられるほどパワートレーンが強く作られていないからだ。リアに駆動力を伝えるためのクラッチの容量もエンジンの最大トルクを伝えられるほど大きくない。しかし、xDriveの場合にはこのままトランスファーを取り去ったとしてもFRとして駆動することができる。

フロントにもリアにもエンジンの100%のトルクを伝えることができるということは、さまざまな困難な路面での走破性が高くなることを示す。その意味でBMWのxDriveはSUVにぴったりのフルタイム4WDシステムであるといえる。

X3 2.5i M- Sportはこうしたフルタイム4WDの走破性の高さを基本性能に持ちながらも、オンロードでのハンドリング性能の高さが際立っているクルマだ。BMWではSUVではなくSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼んでいる理由がここにある。

高速道路を走っても、ワインディングロードを駆け抜けても、車高が高いクルマというイメージは微塵もなく、ロールは小さく、切り返しもすばやく、まるで背の低いスポーツカー並みの運動性能を誇る。特にスポーツサスペンションが採用されたモデルでは、それがさらに強調される。今回試乗したクルマは1500kmに満たないオドメーターだったから、まだサスペンショはしなやかに動いてくれなかった。おそらく5000kmを超え1万kmに迫るころから乗り心地がよくなり、ハンドリング性能もさらによくなるだろう。

画像: X3 2.5i M-Sport。2005年11月に設定されたM-Sportは、エクステリアカラーと同色塗装されたMエアロダイナミクスパッケージやMの18インチホイールを装着する。また足はスポーツサスペンションが採用されている。

X3 2.5i M-Sport。2005年11月に設定されたM-Sportは、エクステリアカラーと同色塗装されたMエアロダイナミクスパッケージやMの18インチホイールを装着する。また足はスポーツサスペンションが採用されている。

4WDであることを意識させない330xi

330xiは330iとは、ハンドリングや乗り心地でもほとんど区別がつかない。フロントを駆動しているという感触はアクセルペダルを深く踏み込んで発進したようなケースで若干感じる程度で、「xiを運転している」と意識しているからわかる程度だ。いわゆるトルクステアは感じないし、コーナーの立ち上がりでハンドルが直進に戻ってくるときの動きもとても自然である。ステアリングインフォメーションもFRと同様にある。ドライブトレーンが増えてはいるが、その音も静かだ。

また前輪を駆動するとハンドルを切ったときのタイヤの角度が制限されることも多いが、330xiの最小回転半径はFRの330iと同じ5.3mである。同用のことはX3にも当てはまり、X3も小回りが利く。

330xiで330iと大きく違うのは車両重量だ。1550kgの330iに対し330xiは110kg重い1660kgである。日本的な重量換算では大人2人分ということになる。つまり1人で乗っていても3人乗りで走っているのと同じことだ。

しかし実際に330xiをドライブしているとエンジンのトルクに十分な余裕があるのと、重心は人が乗っているときとは違って高くならないから、110kg重くなった違和感はない。

330xiに黙って乗せられてフルタイム4WDだということを当てられる人は少ないと思う。それだけ自然にFR車として乗れるということだ。しかしいざとなったら、雪道でもアイスバーンでも何食わぬ顔で走ることができるクルマなのだ。そんな滑りやすい路面でもコントロールしやすく、ドライバーが操る歓びとアクティブセーフティを両立しているところがBMWなのである。(文:こもだきよし/Motor Magazine 2006年2月号より)

画像: 330xi。リアに付けられたエンブレムがなければ、運転をしてもフルタイム4WD車であることに気が付くことはとても困難だろう。それほど乗り味は後輪駆動車に近い。

330xi。リアに付けられたエンブレムがなければ、運転をしてもフルタイム4WD車であることに気が付くことはとても困難だろう。それほど乗り味は後輪駆動車に近い。

ヒットの法則

BMW X3 2.5i M-Sport 主要諸元

●全長×全幅×全高:4565×1855×1675mm
●ホイールベース:2795mm
●車両重量:1760kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2493cc
●最高出力:192ps/6000rpm
●最大トルク:245Nm/3500pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:523万円

BMW 330xi 主要諸元

●全長×全幅×全高:4525×1815×1440mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1680kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:258ps/6600rpm
●最大トルク:300Nm/2500-4000pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:665万円

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