クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第21回は前回に紹介したランチア ストラトスを現代に甦らせた「MAT ニュー ストラトス」だ。

MAT ニュー ストラトス(2019年-)

画像: ヘッドランプこそ現代の基準に合わせて固定式となっているが、スタイルは紛うことなきストラトスだ。

ヘッドランプこそ現代の基準に合わせて固定式となっているが、スタイルは紛うことなきストラトスだ。

前回この項で紹介したランチア ストラトスは、そもそもの成り立ちが普通のスーパーカーとは違っていた。ラリーなどのモータースポーツに参戦するためのホモロゲーション取得には連続12カ月間に400台を生産すればよかったので、実際に生産されたのは500台に満たないと言われている。したがって、現存している台数は400台よりも少ないようだ。そのため、レプリカのキットカーが数多く存在する。

だが、2019年のジュネーブ モーターショーで発表された、このニュー ストラトスはレプリカと言われているものの、まったくのフルコピーではない。製作したのは、スーパーEVのアスパーク アウルなどを手がけたイタリアのカスタムカー ビルダー「マニファットゥーラ アウトモビリ トリノ社(以下、MAT社)」。ベース車はフェラーリ F430スクーデリアで、25台の限定生産が予定されている。

オリジナルのデザインはベルトーネだが、MAT社のニュー ストラトスはピニンファリーナの手になる。ウエッジシェイプ、短めの全長に対しワイドな全幅、円錐形のフロントウインドーなど、ディテールはオリジナルを踏襲している。だが、オリジナルではリトラクタブル式だったヘッドランプは、現代の規準に合わせて固定式を採用している。またサイズ的には、オリジナルよりふたまわりほど大きくなっている。

画像: スパルタンな雰囲気のインテリアも踏襲。ドアポケットはヘルメットが入るほどの大きさだ。

スパルタンな雰囲気のインテリアも踏襲。ドアポケットはヘルメットが入るほどの大きさだ。

インテリアも、オリジナルを踏襲したデザインとなっている。独立したメーターはインパネに取り付けられる、モータースポーツを意識したレイアウト。また、両側のドアポケットはオリジナルの特徴だった、ヘルメットを収納できる大きさになっている。シフトはフェラーリのようにゲートが切られているのは、オリジナルとは違うところ。

リアミッドに縦置き搭載される4.3LのV8エンジンは、ベース車のフェラーリ F430スクーデリアのものよりパワーアップされており、トランスミッションはベース車のセミオートマに加え独自のマニュアルギアボックスも選べるなど、マニア心をくすぐるものとなっている。シャシもベース車よりチューンされており、コーナリング性能はストラトスの名に恥じないよう、かなり高められているようだ。

画像: リアビューはオリジナルを踏襲している。WRCで活躍したアリタリア カラーもよく似合う。

リアビューはオリジナルを踏襲している。WRCで活躍したアリタリア カラーもよく似合う。

MAT ニュー ストラトス 主要諸元

●全長×全幅×全高:4181×1971×1240mm
●ホイールベース:2400mm
●乾燥重量:1247kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:4308cc
●最高出力:540ps/8200rpm
●最大トルク:519Nm/3750rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:6速MT(AMTもあり)
●タイヤサイズ:前265/35R19、後305/30R19

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