2019年末にフルモデルチェンジされて以来、人気を集めているスズキのクロスオーバー軽乗用車「ハスラー」に、ようやく試乗することができた。そのクオリティや走り味は、もはや軽自動車とは侮れないレベルにあった。

外装にも内装にも、人気を集める秘密がある

画像: 試乗車は全方位モニター用カメラパッケージやメモリーナビ、ETCやドラレコなどのオプションを装備し、価格は210万円を超える。

試乗車は全方位モニター用カメラパッケージやメモリーナビ、ETCやドラレコなどのオプションを装備し、価格は210万円を超える。

2019年の東京モーターショーで参考出品され、12月に発表された新型ハスラー。販売開始は年が明けた2020年1月20日からだが、その頃には推定受注累計が2万台を超えるほどの人気を集めていた。月販目標は6000台だから、スズキとしては増産体制で対応するのだろうが、しばらくは受注から納車まで2〜3カ月はかかりそうだ。

そんな人気絶好調の新型ハスラー。写真や室内展示で見たときは従来型と大きく変わっていないように思えた外観デザインは、屋外に駐まっている姿を見ると、けっこう違うのが分かる。丸型2灯ヘッドライトやボクシーなスタイルは踏襲しているが、どちらかといえば可愛い雰囲気のあった従来型に対し、新型は骨太でガッチリした印象。よりSUVテイストが強められたようだ。従来型のほうが女子ウケしたかもしれないが、男子が乗るならこれくらいのしっかり感があったほうが良いかも。まあ、デザインに良い悪いはなく好きか嫌いかだから、個人的には気に入った。

画像: 3連インパネカラーガーニッシュはユニークだがデザイン優先ではなく操作性も悪くない。

3連インパネカラーガーニッシュはユニークだがデザイン優先ではなく操作性も悪くない。

インテリアは、遊び心にあふれている。試乗車のボディカラーはオレンジだったので、シートやインパネに同色のアクセントが入る。とくにメーター/カーナビ(オプション)/アッパーボックスを同じ形状でガードするイメージの3連インパネカラーガーニッシュはユニークだ。だがデザイン優先ではなく機能性も考えられており、けっこう使いやすい。オレンジのアクセントカラーも、うるさいレベルではない。

試乗車は、トップグレードのハイブリッドXターボ 4WD。今回のフルモデルチェンジで自然吸気エンジンは新開発のものに替わったが、ターボエンジンは従来型をキャリーオーバー。とはいえ、そのパフォーマンスに不満はない。軽の自主規制値である64psと98Nmを発生する0.66Lの直3ターボは、街中でも都市高速でも十分に速く、しかも軽快。パワーモードをONにすれば、エンジンやCVTの制御を変えマイルドハイブリッドのモーターアシストをトルクアップさせるので、けっこう力強い。それでも普段はそこまで必要なく、上り坂や急な追い越しなど、ここぞのときに使うくらいで済むだろう。

CVTのマニュアルモードで7速にホールドすると、エンジン回転数は80km/hで約1500rpm、100km/hで約2000rpm(バーグラフ式なので正確には分かりにくい)。ボディサイドが平板な軽自動車ゆえ横風の強いときは直進安定性が気になったが、思ったより悪くない。高められたボディ剛性のおかげで、走り味はしっかりしたものになっている。車内の騒音も抑えられており、運転している限りは軽自動車であることを忘れさせる。

画像: 試乗車は64ps/98Nmを発生するターボエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせる。

試乗車は64ps/98Nmを発生するターボエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせる。

ターボ車にはアダプティブ クルーズコントロールをはじめ、車線逸脱抑制機能などの安全装備を満載。オプションのカーナビはスマホと連動でき、けっこう使いやすい。もはや「軽自動車だから・・・」といって、こうした装備をあきらめる時代は終わった。従来型より広くなった室内には物入れが多く、左右別々にスライドするリアシートや防汚タイプのラゲッジフロアなど、RVとしての使い勝手も十分に考えられている。

クロスオーバー テイストを強めた新型ハスラーだが、もちろん都会をキビキビ走るのもお似合いだ。アウトドア指向はあるけれどジムニーではちょっと本格的すぎる、と思っている人にも最適かもしれない・・・なんて思いながらハスラーに乗っていると、ライバルとして夏にはデビューするというダイハツ タフトが気になってきた。タントと同じDNGAアーキテクチャーを採用するというから走りも期待できるし、使い勝手もいい勝負だろう。

軽自動車も個性が求められる時代。ハスラーやタフトのように走りも実用性も兼ね備えた楽しいモデルが、他メーカーからも登場することを期待したい。(文:篠原政明/写真:井上雅行)

画像: マイルドハイブリッドのアシストも十分で、高めの車高だが直進安定性も悪くない。

マイルドハイブリッドのアシストも十分で、高めの車高だが直進安定性も悪くない。

ハスラー ハイブリッド Xターボ(4WD) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm
●ホイールベース:2460mm
●重量:880kg
●パワートレーン種類:直3 DOHCターボ+モーター
●排気量:658cc
●エンジン最高出力:47kW<64ps>/6000rpm
●エンジン最大トルク:98Nm<10.0kgm>/3000rpm
●モーター最高出力:2.3kW<3.1ps>/1000rpm
●モーター最大トルク:50Nm<5.1kgm>/3000rpm
●トランスミッション:CVT(7速マニュアルモード付き)
●駆動方式:横置き4WD
●WLTCモード燃費:20.8km/L
●タイヤサイズ:165/60R15
●税込価格:174万6800円

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