フェラーリ 612スカリエッティ(2004-2011年)
![画像: ヘッドランプは縦長となり、それまでのフェラーリとは少し趣の違う顔つきとなっているが、エレガントさにあふれている。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/04/22/9d33917484850d1b7654678f747e23c5002a4703_large.jpg#lz:xlarge)
ヘッドランプは縦長となり、それまでのフェラーリとは少し趣の違う顔つきとなっているが、エレガントさにあふれている。
超豪華なFRグランツーリスモとして1992年に登場し、成功作となった456GT(のちに456Mとなる)の後継モデルとして、2004年に発表されたのが「612スカリエッティ」だ。612とは約6L(正確には5748ccだから5.75Lくらいだが)の12気筒エンジンを搭載していることを意味し、スカリエッティ(Scaglietti)とは1950年代から60年代にかけてフェラーリ車のボディを製作したカロッツェリアのオーナー、セルジオ・カロッツェリアに敬意を表して名づけられたものだ。
ボディデザインは、当時のフェラーリ車の大半を手がけているピニンファリーナのチーフデザイナー、フランク・ステファンソン。彼の手がけたクルマとしては、BMW傘下となったMINI(初代)やBMW X5(初代)、マセラティ クワトロポルテ(5代目)などが有名だ。スタイリングのデザインディレクターはケン・オクヤマこと奥山清行が手がけている。
1950年代にミッレミリアなどで活躍した名車「375MM」の面影をボディサイドに再現するなど、フェラーリ2+2の伝統を継承しながらも、同時に先進性を取り入れたデザインであると賞賛されている。456GTよりサイズは大きくなっているが、360モデナで用いられたアルミニウム製のスペースフレームの採用などで、車重は1875kgにおさえられていた。
![画像: エレクトロミックルーフを選べば、室内はオープン感覚も味わえる。日本仕様はF1マチックのみだった。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/04/22/a07d4d98d766fbae6c2dddfca98f5036caf05113_large.jpg#lz:xlarge)
エレクトロミックルーフを選べば、室内はオープン感覚も味わえる。日本仕様はF1マチックのみだった。
フロントに搭載されるエンジンは、当時の12気筒フェラーリ同様、バンク角65度のV型12気筒DOHC。550マラネロの進化版である575Mマラネロに搭載されていたものと5748ccという排気量は同じだが、パワースペックは最高出力が540psへと向上されている(最大トルクは60.0kgmで同じ)。ミッションは6速MTに加えてセミATのF1マチックも用意された。
2+2のクーペとはいえ、おとな4名の乗員に快適な空間を備えたこのFRベルリネッタは、機敏な走りを身上としながらも、長距離ドライブにもシティユースにも適した万能性を備えていた。とくに細部にまでおよぶハンドクラフトとマテリアルの高いレベルは、最上級グランドツアラーと呼ぶにふさわしいものだった。
また、ガラスルーフの濃度を変えることでオープンカーのような開放感を満喫できるエレクトロミックルーフも設定され、グランツーリスモならではの魅力のひとつとなっている。
![画像: 格調高いフェラーリのグランツーリスモらしいデザインを継承している。写真はエレクトロミックルーフ装着車。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/04/22/a906b427911082e2e1e8c66c5f1a61737529e375_large.jpg#lz:xlarge)
格調高いフェラーリのグランツーリスモらしいデザインを継承している。写真はエレクトロミックルーフ装着車。
フェラーリ 612スカリエッティ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4902×1957×1344mm
●ホイールベース:2950mm
●重量:1875kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●排気量:5748cc
●最高出力:540ps/7250rpm
●最大トルク:60.0kgm/5250rpm
●燃料タンク容量:109L
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AMT
●タイヤサイズ:前245/40ZR19、後285/40ZR19
●当時の価格:3660万円