ランボルギーニ ウラカン クーペのマイナーチェンジ版が、進化版を意味する「ウラカンEVO」。エンジンは現行のペルフォルマンテと同じ640ps仕様とされたが、走り専用のペルフォルマンテに対して、EVOはより幅広い使い方を想定している。このため乗り心地はさらに改善され、エンジン音も過大とは言えない。一方で興味深いのが電子制御系の進化で、EVOにはウラカンとして初めて4WSやトルクベクタリングを装備。ANIMAでスポルトモードを選べば豪快なドリフト走行を自在に操れるほか、ストラーダモードは安定志向、サーキット用のコルサモードではラップタイプ志向を楽しめる。ドライバーの志向に合わせて、キャラクターが豹変する点がEVOの特徴と言える。今回は、新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」から、その試乗記をお届けしよう。

圧倒的なトラクション性能とスタビリティ

ランボルギーニ ウラカンEVOのハンドルを握って、もっとも感動的だったのは、そのトラクション性能とスタビリティの高さだった。ビークルダイナミクスの核となるLDVI=ランボルギーニ ディナミカ ヴェイコロ インテグラータに、ハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダルなどの操作から姿勢変化などを予測し、あらかじめ各デバイスの制御を行うフィードフォワード制御を採用。実際に走らせてみると、その効果が確実に表れている。

ワインディングでも姿勢がオーバーステアに転じるようなシーンは皆無で、乗り心地も快適だ。ここからスポーツ、コルサへとモードを切り替えていくと、シフトやサスペンション、操舵フィール、エキゾーストサウンドはハードに、また勇ましくなってくる。

サーキットなどでさらにダイナミックな走りを楽しみたいのならば、スポーツを選択するのがベスト。コルサはタイムアップのために、常にニュートラルな方向へと車体の姿勢を制御するからだ。

もちろん「スポーツモードでダイナミックなアクションを」と考えても、圧倒的なトラクション性能の前には、そうそう簡単にはオーバーステアには持ち込めないのだが。

日本のオンロードで合法的に認められる最高速度程度では、ALA=エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーバを採用したウラカン ペルフォルマンテと、それを持たないウラカンEVOのエアロダイナミクスの違いなど、ほとんど感じ取れない。かつて海外で試乗したペルフォルマンテは、ワインディングで確かにALAの恩恵を感じさせてくれた。当然のことながら高速コーナーであればあるほどに有効なデバイスということになる。

それでも逆に考えれば、あらゆる速度域で確実に最適なトルクベクタリングが行われるEVOは、シャシ制御そのものに若干のアドバンテージがあるように思う。

インテリアもまた最新のスーパースポーツらしく、機能的で快適な空間へと進化している。センターコンソール上には8.4インチサイズの縦型タッチパネルが備わり、ここでLDVIの状態などさまざまなインフォメーションを得ることができる。

EVO世代へと進化を遂げたウラカン。はたしてこの先にはどのような未来が待つのか。早くもこれからのエボリューションが楽しみになってきた。(文:大谷達也/新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」より)

画像: 2019年3月に発表されたウラカンの進化版「ウラカンEVO」。ペルフォルマンテ用V10エンジン搭載、車両統合制御システムの採用、エアロダイナミクスや操作系の改良など、その変更点は多岐に渡る。

2019年3月に発表されたウラカンの進化版「ウラカンEVO」。ペルフォルマンテ用V10エンジン搭載、車両統合制御システムの採用、エアロダイナミクスや操作系の改良など、その変更点は多岐に渡る。

ランボルギーニ ウラカンEVO 主要諸元

●全長×全幅×全高:4520×1933×1165mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1422kg
●エンジン:V10DOHC
●排気量:5204cc
●最高出力:640ps/8000rpm
●最大トルク:600Nm/6500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●車両価格:3282万7602円

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