圧倒的なトラクション性能とスタビリティ
ランボルギーニ ウラカンEVOのハンドルを握って、もっとも感動的だったのは、そのトラクション性能とスタビリティの高さだった。ビークルダイナミクスの核となるLDVI=ランボルギーニ ディナミカ ヴェイコロ インテグラータに、ハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダルなどの操作から姿勢変化などを予測し、あらかじめ各デバイスの制御を行うフィードフォワード制御を採用。実際に走らせてみると、その効果が確実に表れている。
ワインディングでも姿勢がオーバーステアに転じるようなシーンは皆無で、乗り心地も快適だ。ここからスポーツ、コルサへとモードを切り替えていくと、シフトやサスペンション、操舵フィール、エキゾーストサウンドはハードに、また勇ましくなってくる。
サーキットなどでさらにダイナミックな走りを楽しみたいのならば、スポーツを選択するのがベスト。コルサはタイムアップのために、常にニュートラルな方向へと車体の姿勢を制御するからだ。
もちろん「スポーツモードでダイナミックなアクションを」と考えても、圧倒的なトラクション性能の前には、そうそう簡単にはオーバーステアには持ち込めないのだが。
日本のオンロードで合法的に認められる最高速度程度では、ALA=エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーバを採用したウラカン ペルフォルマンテと、それを持たないウラカンEVOのエアロダイナミクスの違いなど、ほとんど感じ取れない。かつて海外で試乗したペルフォルマンテは、ワインディングで確かにALAの恩恵を感じさせてくれた。当然のことながら高速コーナーであればあるほどに有効なデバイスということになる。
それでも逆に考えれば、あらゆる速度域で確実に最適なトルクベクタリングが行われるEVOは、シャシ制御そのものに若干のアドバンテージがあるように思う。
インテリアもまた最新のスーパースポーツらしく、機能的で快適な空間へと進化している。センターコンソール上には8.4インチサイズの縦型タッチパネルが備わり、ここでLDVIの状態などさまざまなインフォメーションを得ることができる。
EVO世代へと進化を遂げたウラカン。はたしてこの先にはどのような未来が待つのか。早くもこれからのエボリューションが楽しみになってきた。(文:大谷達也/新刊ムック「Motor Magazine 輸入車年鑑 2020」より)
ランボルギーニ ウラカンEVO 主要諸元
●全長×全幅×全高:4520×1933×1165mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1422kg
●エンジン:V10DOHC
●排気量:5204cc
●最高出力:640ps/8000rpm
●最大トルク:600Nm/6500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●車両価格:3282万7602円