メルセデスAMG GT(2014年-)
メルセデス・ベンツのファンなら誰もが知っているAMGの由来に関しては、以前に今企画でSLS AMGを紹介したときに説明したが、AMGがメルセデス・ベンツのサブブランド「メルセデスAMG」となったのとほぼ同時期に、メルセデスAMG GT(以下、AMG GT)は登場した。
前述のSLS AMGの後継車にあたるAMG GTがワールドプレミアされたのは、2014年のパリ モーターショー。AMGを象徴する存在だけに、硬派なスポーツカーとして仕立てられている。サイズ的には先代モデルにあたるSLS AMGと大差ない(AMG GTのほうが少し全長が短く、少し全高が高い)が、ドアの開閉はガルウイング式ではなく普通のスイング式となった。車格的にはSLS AMGより少し下に位置する。
ロングノーズ/ショートデッキのファストバック スタイルは、いかにもFRのスポーツクーペらしいものだが、リアにはハッチゲートを備えて使い勝手を高めている。見た目は多少クラシカルだが、中身は新世代のもの。SLS AMGから踏襲されたアルミニウム製のスペースフレームは、わずか231kgという軽量ながら高い強度を実現している。
長いエンジンルームの奥にフロントミッドシップ搭載されたパワーユニットは、ドライサンプ化された4L(正確には3982cc)のV型8気筒DOHCツインターボ。しかもVバンクの内側に排気系とターボを装着する「インサイドホット」方式を採用。デビュー時の上級グレードであるGT Sでは、最高出力が510ps、最大トルクが650Nmというパワースペックを発生していた。公称の最高速度は310km/h、0→100km/h加速は3.8秒。ミッションは7速DCTでトランスアクスル方式を採用し、前後重量配分も47:53を実現していた。
インテリアではV8エンジンをモチーフにした大きなセンターコンソールが特徴的で、航空機のコクピットのような佇まいを見せる。2眼式メーターの中央にインフォメーションディスプレイを備え、メルセデス車らしくインターフェースの視認性や操作性は高かった。
日本では2015年から発売が開始され、2017年には585psを発生するハイパフォーマンスモデルのGT Rやオープンモデルのロードスターが設定された。さらに2018年モデルからは、パナメリカーナグリルを採用して顔つきを一新。2019年にはマイナーチェンジされ、4ドアクーペも追加設定されるなど、AMG GTは今もなお進化を続けている。
また、日本のスーパーGTをはじめ、世界各地のレースでGT3やGT4仕様車が活躍し、F1グランプリやドイツ ツーリングカー選手権ではセーフティカーとして採用されるなど、モータースポーツの世界でもAMG GTは注目を浴び続けている。
メルセデスAMG GT S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4550×1940×1290mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:1660kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3982cc
●最高出力:510ps/6250rpm
●最大トルク:650Nm/1750-4750rpm
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前265/35ZR19、後295/30ZR20
●当時の価格:1840万円