ベースのGLEは3列シートだがGLEクーペは5人乗り
メルセデス・ベンツのMクラスをはじまりとするミドルクラスSUVのGLEは、2019年6月にフルモデルチェンジ。従来モデルにはなかった3列シートを新たに備えて居住空間とラゲッジスペースを拡大するなど、プレミアム性を向上させている。
この登場から約1年が経過した2020年6月11日、GLEの派生モデルとしてラインアップされていたクロスオーバーSUV「GLEクーペ」もフルモデルチェンジを受けて発売された。グレード展開はふたつ。GLE400d 4マティック クーペ スポーツと、メルセデスAMG GLE53 4マティック+ クーペで、同年6月下旬からのデリバリーを予定しているという。
ボディサイズは従来モデルと同様に堂々たるもので、全長4955mm(従来比+65mm)/全幅2020mm(同+5mm)、またホイールベースは2935mm(同+20mm)といずれも拡大され、逆に全高は15mm低められて1715mmとワイド&ローなスポーティさを強調するスタイルになっている。ただ、外観のシルエットにほとんど変更はなく、キープコンセプトで進化していることがわかる。
とはいえ、台形基調のフロントグリルやシャープなヘッドライトとテールランプなど、現在のGLEをベースにしたスタイリッシュさを演出する。特徴的なのはテールエンドのデザインで、リアフェンダーからテールランプ、テールゲートまでひとつの曲面で描かれているかのような丸みを帯びたデザインとなっている。従来モデルもその傾向にあったが、さらに強調されているかのようだ。
丸く、シャープなデザインにより室内空間の広さを気にしてしまうが、ホイールベース20mmを長くしたことでレッグスペースを確保して乗降性も向上、さらに収納スペースも40Lに拡大しているという。またラゲッジルーム容量を655L~1790L確保するが、これは従来モデルより最大値で70L増加しているという。このほかにも荷物の積み下ろすときにテールエンドを50mm降下させる機能や、テールゲートを手を使わずに開閉できるフットトランクオープナーを標準装備する。
インテリアにはラグジュアリーデザインと、MBUXのデジタル技術を採用。メーターからダッシュボードセンターまで1枚のディスプレイが長く配置しているかのような演出の、「12.3インチワイドディスプレイ」と「12.3インチコックピットディスプレイ」を1枚のガラスカバーで融合させた先進的なディスプレイを採用。ドアパネルまで流れるような特徴的デザインを描いている。
搭載されるエンジンはグレードによって2種類あり、GLE400d 4マティック クーペ スポーツには330ps/700Nmを発生する3L直列6気筒ディーゼルターボ「OM656」を搭載する。可変タービンジオメトリーを採用した比較的小さいタービンにより、1200rpm〜3200rpmの低回転域で最大トルクを発生する。効率性や環境性能だけでなく、低振動で静粛性の高さを持つエンジンだという。
トランスミッションは9速ATで、前後輪軸にそれぞれ0〜100%のトルクを連続可変させて配分することにより、オン/オフロードでの走行性能を高い次元で両立させる4MATICを組み合わされている。また、走行状況に合わせて四輪サスペンションをそれぞれ連続可変させるダンピングシステム「AIRMATICサスペンション」を標準装備することで、高い快適性とスポーツ性を実現する。
一方のメルセデスAMG GLE53 4マティック+ クーペには435ps/520Nmを発生するガソリン仕様の3L直6エンジン「M256」を採用するが、実はこれ48V電気システムと電動スーパーチャージャーを組み合わせて搭載されているのだ。しかも、エンジンとトランスミッションの間に21ps/250Nmを発生するモーター(スターター/ジェネレーター)を挟み込み、回生ブレーキによる発電と駆動補助を行うマイルドハイブリッドシステム「ISG」を搭載する。これは走行性能だけでなく、エンジンスタートするときの振動を抑えるなどの快適性をも向上させてくれるなど、とにかくハイテクなシステムを満載しているグレードといえる。
どちらのグレードを選んだとしても、SUVとは思えないスポーティさを味わわせてくれることは間違いなさそうだ。
メルセデス・ベンツ GLEクーペ 車両価格
GLE400d 4マティック クーペ スポーツ(3L直6ディーゼルターボ/右ハンドル):1186万円
メルセデスAMG GLE53 4マティック+ クーペ(3L直6ターボ/左・右ハンドル):1421万円