クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第116回は「マクラーレン スピードテール」だ。

マクラーレン スピードテール(2018年-)

画像: 真上から見ると、キャブフォワードでテールに向かって絞り込まれたティアドロップ形状のボディスタイルがよく分かる。

真上から見ると、キャブフォワードでテールに向かって絞り込まれたティアドロップ形状のボディスタイルがよく分かる。

2018年7月、マクラーレン オートモーティブはアルティメットシリーズの新たなモデルとして開発中の新型車は「スピードテール(Speedtail)」という車名になると発表した。同時にイメージスケッチのようなイラストも発表されたが、ほとんど実態はわからないものだった。このスピードテールは106台が限定生産されるとされ、しかも既にこの時点で完売していた。

それから約3カ月後の10月、ロンドンで行われたプライベートなプレビューイベントで、スピードテールの画像とスペックの一部が予約済みのカスタマーに公開された。スピードテールはマクラーレン オートモーティブの最初のロードカーである「F1」をインスパイアしたモデルだ。

「スピード(=速さ)テール(=尾部)」という車名を具現化したような、いかにも空気抵抗の少なそうなボディはカーボンファイバー製で、シームレスな美しさを誇っている。マクラーレンのロードカー史上もっともドラッグを低減させている。全長は5137mmで、アルティメットシリーズの先代にあたるPHVのP1よりは55cmほど長い(全幅は未公表)。真上から見ると、ボディはティアドロップ形状となっている。

軽量シングルガラスを装着した電動開閉のディヘドラル式ドアを開けてコクピットを見ると、マクラーレン F1をインスパイアしたということに納得する。中央にドライバーズシートを配し、その両脇に少し後ろへオフセットしたパッセンジャーズシートを備えた3シーターというレイアウトは、まさにF1のそれを踏襲しているからだ。フロントウインドーにはワンタッチで上部を暗くすることができてサンバイザーを不要にしたエレクトロクロミックガラスを採用。インテリアの素材も、チタニウムを蒸着したカーボンファイバーの新素材やエジタルエンボス加工を施した軽量レザーなどで、カスタマイズが可能だ。

画像: ステアリングがなければ宇宙船のコクピットのよう。計器類はすべてモニターで、シフトのセレクターは、ルーフの上に備わっている!

ステアリングがなければ宇宙船のコクピットのよう。計器類はすべてモニターで、シフトのセレクターは、ルーフの上に備わっている!

フルカーボンファイバー製のボディ、アルミニウム製のアクティブサスペンション、カーボンセラミック製のブレーキなどを採用し、乾燥重量は1430kgにおさえられている。

パワーユニットは、4.0LのV8ツインターボに電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムで、システム最高出力は1070ps、最大トルクは1150Nmと発表されているが、詳しいスペックは公表されていない。それでも、最高速度は403km/h、0→300km/h加速は13秒未満というパフォーマンスがアナウンスされている。この最高速度と0→300km/h加速タイムはケネディ宇宙センターのスペースシャトル着陸用滑走路で実際にテストされ、スピードテールはこの公表値を30回以上も達成してみせたのだった。

通常の車高は1155mmだが、超高速走行時の「ヴェロシティモード」では、車高は1120mmにまで下がる。フロントホイールのエアロカバー、アウターミラーの代わりをする格納式リアビューカメラ、そしてアクティブ リアエルロン(補助翼)なども効果を発揮する。

唯一無二の世界最速マシン、マクラーレン スピードテールの価格は税別で175万ポンド(約2億5000万円)。前述のように限定の106台は発表時には完売している。願わくば、日本の公道上でその勇姿を見てみたいものだ。

画像: このアングルから見ると、まさに「スピードテール」という車名そのもののスタイルといえる。ボディはフルカーボンファイバー製。

このアングルから見ると、まさに「スピードテール」という車名そのもののスタイルといえる。ボディはフルカーボンファイバー製。

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