クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第120回は「マクラーレン GT」だ。

マクラーレン GT(2019年-)

画像: 今までの、どのマクラーレン車よりも全長と前後のオーバーハングは長い。それでも、タイヤサイズは控えめとなっている。

今までの、どのマクラーレン車よりも全長と前後のオーバーハングは長い。それでも、タイヤサイズは控えめとなっている。

マクラーレン オートモーティブのスーパースポーツカーは、アルティメットシリーズ/スーパーシリーズ/スポーツシリーズという3つのファミリーでラインアップされているというのは、この連載で何回か紹介しているが、2019年5月、それまでのシリーズとは異なるモデルとして「マクラーレン GT」を発表した。

その名のとおり、このモデルはGT=グランドツアラーという性格付けがされ、新たな顧客層の開拓を目指している。ヨーロッパ大陸を横断できる、伝統的なグランドツアラーとしての特性を持ちながらも、さらなる軽量化とスピード、そしてドライバーとクルマとの一体感の向上と利便性を、このマクラーレン GTは実現している。以前、スポーツシリーズに570GTというモデルが存在したが、このマクラーレン GTは、そのスピリットをさらに進化させたモデルといえるだろう。

エクステリアでは、ノーズを水平にスライスして車両の側面も見てみたいと思わせる、フロントのハンマーヘッド ラインが特徴的だ。リアはボディと一体化した固定式のスポイラーや大きなディフューザー、存在感のあるエグゾーストエンドが目立つ。全長は4.7m近く、ホイールベースも2.7m近くとマクラーレン車としては長くされている。

最大のポイントは、電動開閉式のガラス張りテールゲートの下には420Lものラゲッジスペースが備わることだ。ゴルフバッグか185cmのスキー板を2セットとブーツ、そして手荷物も楽々と積載が可能だ。フロントにも150Lのトランクを備えているから、大陸横断の旅行にも対応できるというわけだ。

画像: シート後方のラゲッジスペース容量は420Lもある。この下に収まるエンジンをオーナーが見ることはほとんどないだろう。

シート後方のラゲッジスペース容量は420Lもある。この下に収まるエンジンをオーナーが見ることはほとんどないだろう。

他のマクラーレン車と同様に、最新の「モノセルII-T」と呼ばれるカーボンファイバー製のバスタブシャシやディヘドラル式ドアも踏襲しているが、エンジンマウントを600LTの半分の剛性に抑えるなど、高い快適性や静粛性を追求している。さらに、アルミニウム製のダブルウイッシュボーン式サスペンションには、プロアクティブ ダンピング コントロールが備えられている。また街中での使いやすさを考慮してロードクリアランスは110mmに設定され、リフトアップ システムを作動させれば13度と130mmにアップして普通のセダン並みになる。

とはいえ、パワーユニットは新世代の4.0L(正確には3994cc)のV型8気筒 DOHCツインターボは最高出力620psと最大トルク630Nmというパワースペックを発生し、最高速度は326km/h、0→100km/h加速は3.2秒、0→200km/h加速は9.0秒という十分以上のパフォーマンスを発揮する。

インテリアも、メーターパネルには12.3インチのTFTスクリーンを採用して視認性を高め、センターダッシュ上部には縦型7インチのタッチスクリーンを備え、新開発のインフォテインメントシステムも搭載されている。

「現状に甘んじることなく、グランドツアラーを再定義したモデル」と言われるマクラーレン GT。現時点ではアナウンスはないが、将来的にはシリーズ化される可能性も高いようだ。

画像: リアはボディと一体化した固定式のスポイラーや大きなディフューザーに、存在感のあるエグゾーストエンドが目立つ。

リアはボディと一体化した固定式のスポイラーや大きなディフューザーに、存在感のあるエグゾーストエンドが目立つ。

マクラーレン GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4683×2045(ミラー収納時)×1213mm
●ホイールベース:2675mm
●重量:1530kg(DIN、オイル類+ガソリン90%)
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3994cc
●最高出力:620ps/7500rpm
●最大トルク:630Nm/5500-6500rpm
●燃料タンク容量:72L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前255/35R20、後295/30R21
●当時の価格:2645万円

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