ホンダ ヒート(Honda HEAT)が所属するジャパンラグビートップリーグが、新型コロナの影響により2019-2020年度リーグの途中となる4月で中止となった。往年の軽スポーツ「ホンダ ビート(BEAT)」のファンにも耳ざわりがいいホンダ ヒートはどのようなラグビーチームか紹介していこう。

※タイトル写真:スクラム中央の左側、黒いユニフォームを着るのがラグビーワールドカップの日本代表に選出されたホンダ ヒート所属の具智元選手。

ホンダの社会人スポーツは盛んで全7チームある

大企業は給与の高さや雇用の安定性だけでなく、福利厚生の充実ぶりも就職を志す人たちの眼に魅力的に映ることだろう。本田技研工業もそんな大企業のひとつで、とくに注目したいのは福利厚生の一環である部活や同好会の多さだ。本社公認の部活動だけで5種目7チームあり、硬式野球部が3チーム、サッカーが1、ソフトボールが1、陸上競技部が1、そしてラグビーが1だ。

いずれのチームも所属リーグで好成績を残しており、エネルギッシュでチャレンジングなホンダの企業文化を担っている。

今回紹介するホンダ ヒートは本田技研工業 鈴鹿製作所が運営する、ジャパンラグビートップリーグに所属する本社公認ラグビーチームだ。ひと文字違いではあるが、1990年代のミッドシップ軽スポーツ「ビート」の話題ではないので、念のため。チーム名の由来は「熱さ(HEAT)」。心を熱く燃やして真の強さを得て、チームに関わる人たちと熱さを共有したいとの想いが込められている。

画像: 本田技研工業公認のラグビー部、ホンダ ヒートのエンブレム。チームメイトだけでなく、活動に携わる全員の心の熱さを表すという。

本田技研工業公認のラグビー部、ホンダ ヒートのエンブレム。チームメイトだけでなく、活動に携わる全員の心の熱さを表すという。

日本で一般的な15人制を採用するジャパンラグビーの「トップリーグ」は、16チームが参加する大規模なもので、サッカーで言えばJ1に相当する。J2に相当するのが、2017-2018年度より創設された「トップチャレンジリーグ」、JFL相当が「トップイーストリーグ」と「トップウエスト」、「トップキュウシュウ」の地域最上位リーグとなる。

ホンダ ヒートが戦うのは、日本ラグビー界の最上位のトップリーグだ。ちなみにこのリーグには、ホンダ以外にも自動車関連メーカーのチームがいくつか所属している。トヨタ自動車ヴェルブリッツ、日野レッドドルフィンズ、ヤマハ発動機ジュビロだ。トラクターのクボタもクボタスピアーズで参戦している。

ホンダ ヒートの歴史は、1960年に同好会として発足したことに始まる。1961年に部として認定され、三重県社会人リーグに参加した。1973年に日本の最上位リーグのひとつである関西社会人Cリーグに昇格。1975年にはBリーグ、1978年にはAリーグと順調に昇格していった。

2003-2004年度リーグより地域リーグと社会人リーグはジャパンラグビートップリーグに発展、関西社会人リーグはトップリーグへの登竜門となるトップウエストへと改組。ホンダ ヒートもトップウエストAリーグに参戦。3度のリーグ2位を果たしたのち、2007-2008年度シーズンでホンダ ヒートは同リーグで初優勝! ついにトップリーグへの昇格を果たした。

ところが翌2008-2009年度シーズンでは、トップリーグの洗礼を受けて1勝12敗という成績に終わりトップウエストへと降格してしまう。その後も昇格と降格を繰り返したのち、ワールドカップ日本開催によりラグビー人気急騰の機運が高まりつつあった2018-2019年度シーズンをトップリーグで迎えた。このシーズンを16チーム中9位の成績で終えてトップリーグ残留を達成したわけだが、実はこの順位は昇格初年度としてはかなり優秀なものだったと言われている。

画像: ラインアウトの空中戦でジャンパーとなっているキャプテンの小林亮太選手。HEATの名前にふさわしい熱き闘将だといわれている。

ラインアウトの空中戦でジャンパーとなっているキャプテンの小林亮太選手。HEATの名前にふさわしい熱き闘将だといわれている。

そして翌2019-2020年度、強豪チームとの対戦の多かったシーズンはじめの6戦を2勝4敗で切り抜け、残り9戦で巻き返しを図ろうとしていたところだったが、なんとコロナ禍の影響によりここでリーグ中止となってしまったのだ。

ホンダヒートは創部以来、徐々にではあるが着実にチームは強化され、さらなる飛躍を望めるチーム。現在、来期のチーム編成を進められて新戦力となる6名の選手が入団、すでにトレーニングにも参加している。ラグビーワールドカップ2019日本大会で活躍した日本代表の具 智元選手も在籍しており、世界大会で見せてくれた激しいプレーにより、過去最高順位の9位を越えるトップリーグ8位以内を期待したい。(文:猪俣義久)

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