今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「トヨタ カルディナ」だ。

トヨタ カルディナ(2002年)

画像: 従来型より全長と全高は少しずつ縮められているが、ホイールベースは120mm延長されている。

従来型より全長と全高は少しずつ縮められているが、ホイールベースは120mm延長されている。

トヨタのワゴン、カルディナが3代目にフルモデルチェンジされた。スタイリングは従来型から一新。つり目風のヘッドランプや、三角形のリアクオーターウインドーとDピラー、そしてリアコンビランプも三角形と、デザインのモチーフには三角形を多用して、スポーティさを強調しているようだ。

サイズ的には、全長は従来型よりわずかに短く全高も少し低められているが、全幅は1740mmに広げられ、全グレードで3ナンバーボディとなった。ホイールベースも120mm延長されている。シャシはプレミオ/アリオンと共通だが、走りの質を高めるために車体は大幅に強化されている。

インテリアも、センタークラスターやシフトまわりも三角形(トヨタではV字型と呼んでいるが)をモチーフにしたデザインを採用し、独特のスポーティな雰囲気を醸し出している。アグレッシブなスタイルだがワゴンとしての機能性は十分に考えられているのは、トヨタらしいところ。

ホイールベースを延長したおかげでキャビンスペースは前後とも広くなった。ラゲッジスペースもタイヤハウスの出っ張りが少ないスクエアでフラットだ。は6:4の分割可倒式のリアシートは座面を引き起こして背もたれを倒すダブルフォールディングを採用し、最大荷室長は1720mmまで広がる。ワゴンとしての使い勝手は申し分ないだろう。

画像: 260psと33kgmを発生した2Lツインカムターボの3S-GTE。パフォーマンスロッドも装着されていた。

260psと33kgmを発生した2Lツインカムターボの3S-GTE。パフォーマンスロッドも装着されていた。

搭載されるエンジンは、2L DOHCターボの3S-GTEを筆頭に、2Lと1.8Lも設定されるが、今回は3S-GTEで4輪を駆動するトップグレードのGT-FOURを中心に試乗した。1986年に登場したセリカ GT-FOURに搭載されてから、長い歴史を誇るツインカムターボエンジンだが、改良を重ねながら現在もGTレースなどで活躍するユニットだ。

最高出力260psと最大トルク33kgmを発生する3S-GTEに、パワー的にはまったく不満はない。十分に速く、しかもフレキシビリティに富んでいるので、どの回転域からでもアクセルを踏めば即座に加速してくれる。とくに中回転域でブーストが立ち上がるあたりが最も元気が良く、気持ちいい。

ミッションは全グレードで4速ATのみだが、GT-FOURはマニュアルモードを備える。シフトストロークは短く、レスポンスも良いのでマニュアルシフトを楽しみながら走ることができるのだが、4速ではプレミアム性を保つのは難しい。商品力はもちろん、実用面でもクロスレシオの5速が欲しくなるところだ。

従来型より剛性がアップしたおかげで、ハンドリングもしっかりしている。ステアリングを切ってからクルマが反応するまでの一体感が、かなり高くなっている。このワゴンとは思えないハンドリング特性は、FRを含めたトヨタのスポーティモデルの中でも特筆ものといえるだろう。

2LのFFモデルにも少し乗ってみた。パワフルさではGT-FOURにおよばないが、普通に使うなら高速でも不満のない性能を持っている。静粛性や安定性も十分で、長距離ツーリングも楽しめるワゴンであることは間違いない。

画像: リアコンビランプやリアクオーターウインドー、Dピラーなどに三角形をモチーフとしたデザインを採用。

リアコンビランプやリアクオーターウインドー、Dピラーなどに三角形をモチーフとしたデザインを採用。

■トヨタ カルディナ GT-FOUR 主要諸元

●全長×全幅×全高:4510×1740×1445mm
●ホイールベース:2700mm
●車重:1480kg
●エンジン形式:直4・DOHCターボ・横置き4WD
●排気量:1998cc
●最高出力:191kw(260ps)/6200rpm
●最大トルク:324Nm(33.0kgm)/4400rpm
●ミッション:4速AT
●タイヤ:215/45ZR17
●当時の価格:271万円

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