2020年8月15日、F1第6戦スペインGPの予選がバルセロナ・カタルニアサーキットで行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得した。2番手はチームメイトのバルテリ・ボッタス、3番手はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。アレクサンダー・アルボンは6番手。

決勝では2ストップ以上の、かつてないタイヤ戦略も

金曜日に続き気温が高い中で始まった予選のQ1では、ホンダ勢は4台とも快調なペースで問題なくQ2に進出。Q2では決勝スタートタイヤを見据えて各チームの選択に注目が集まるなか、ミディアムタイヤとのタイム差が大きいことから、ホンダ勢もふくめて全車がソフトタイヤを装着。ホンダ勢ではダニール・クビアトは0.026秒差でQ2ノックアウトとなったが、他の3台はQ3に進出する。クビアトは自由にタイヤ選択ができる12番手から、トップ10圏内の3台はソフトタイヤで決勝をスタートすることになった。

Q3の最初のスティントでは、フェルスタッペンはメルセデス2台に次ぐ3番手のポジションをキープ。アレクサンダー・アルボンは8番手、ピエール・ガスリーは10番手。最後のスティントでタイムを伸ばせなかったフェルスタッペンは変わらず3番手、最終ラップでタイムを伸ばしたアルボンはポジションを上げて6番手でフィニッシュした。アルボンからわずか0.1秒遅れのガスリーは10番手。6番手以降、非常にタイムの拮抗したQ3となった。

メルセデスAMGの2台は1分15秒台とあいかわらず速いが、フェルスタッペンのトップから0.7秒差の3番手はチームとして想定内。少しタイム差はあるものの、アルボンが3列目6番手を獲得したことでこれまでとは違う戦略が立てられる可能性も見えてきた。

画像: ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のポールポジションは92回目、今季4回目。フロントロウは通算150回目。

ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のポールポジションは92回目、今季4回目。フロントロウは通算150回目。

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、カタルニア・サーキットでの自身ベストグリッド3番手からのスタートとなる。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、カタルニア・サーキットでの自身ベストグリッド3番手からのスタートとなる。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、決勝レースに向けて「予選はホンダのパワーユニットを使用する4台のマシンのうち3台がQ3進出と、まずまずの予選結果になりました。レッドブルのフェルスタッペン選手は、このサーキットでの彼自身のベストリザルトとなる3番グリッドの獲得と、今日も力強い走りを見せてくれました。チームメイトのアルボン選手、アルファタウリのガスリー選手も安定した走りを見せ、6番グリッド、10番グリッドと、レースに向けて期待が持てるグリッドポジションになりました。12番手に終わったクビアト選手は非常に僅差でQ3進出を逃したものの、ポイント獲得可能な位置から新しいタイヤでのスタートになりますので、他の3台とともに入賞を果たしてくれればと考えています。両チームともロングランでいい手ごたえを感じています。決勝もここ2日と同様に気温が上がりそうな予報が出ているので、これまで蓄積したデータを活かし両チームとともに準備を進めます」とコメント。ドライバーは次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、決勝2列目3番グリッドスタート。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、決勝2列目3番グリッドスタート。

「予選ではマシンのパフォーマンスを全て出し切ることができました。ラップタイムはメルセデスの2台におよびませんでしたが、ロングランではいい勝負ができました。レースウイークを通して3番手で、決勝も3番手スタートになりますが、もっと前でフィニッシュしたいです。金曜日のロングランではマシンのバランスもタイヤの感触もよかったので、同じような気温が予想される決勝でも同様のいい走りができるはずです。メルセデスの2台にプレッシャーをかけ、いいファイトを見せましょう。いい走りをする自信はあります」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、決勝3列目6番グリッドスタート。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、決勝3列目6番グリッドスタート。

「予選の内容に全て満足しているわけではありませんが、6番手は前2戦に比べていい結果ですし、いいレースができる位置だと思っています。オーバーテイクが難しいサーキットなので、予選でいい位置に入るのが大切でした。もう少しいいペースで走りたかったです。マシンのフィーリングに少し違和感があり、Q3の2回目のスティントよりもユーズドタイヤで走った1回目のほうが感触がよかったので、その原因を分析したいと思います。決勝ではオーバーテイクを狙えるように戦略を立て、いいレースをしたいです」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、決勝5列目10番グリッドスタート。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、決勝5列目10番グリッドスタート。

「金曜日はマシンのフィーリングがよくなくて難しい一日でしたが、予選ではQ3まで進むことができてよかったです。Q2でいい位置に入れたので、新品タイヤを決勝に温存することにしました。ソフトタイヤを4セットしか使えないので、Q2の最初のスティントをユーズドのソフトタイヤで走りましたが、いいタイムが出せました。Q3は接戦だったので10番手でも悪くない結果ですが、もう少しいいタイムが出せたはずなので少し悔しいです。明日の決勝は激戦になると思いますが、前戦の分をリカバリーするためにも、少しでも多くポイントを獲得したいです」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)、決勝6列目12番グリッドスタート。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)、決勝6列目12番グリッドスタート。

「午前中のフリー走行3回目ではマシンのフィーリングがよくなくて苦しんだのですが、予選では改善することができました。いい走りができたので満足しています。タイムもよかったですし、決勝は12番手からスタートで新品のタイヤも使えるので、ポイントも狙えると思います。決勝ではいい走りをして、トップ10以内でフィニッシュしたいです」

タイヤを供給するピレリは「スペインGPの最良のレース戦略はツーストッパーとなるでしょう。ワンストップはどのタイヤの組み合わせでも限界があります。理論上の最速は、ソフトタイヤの19周を2スティント走行し、最後にミディアムで28周走ることです。2番目に速いアプローチは3ストッパーです。ソフトでスタートして15周、その後ソフトで15周、ミディアムで21周つないで、最後にふたたびソフトを使います。現時点で3番目に速い戦略は、ソフトタイヤでスタートして、ミディアムを2回使うものです。これは気温が高くソフトの劣化が早い場合に有効になります。ただし、これらの戦略はすべて理論上のものです。上位10台すべてがQ2をソフトタイヤで通過したのはちょっとした驚きでした。ソフトタイヤとミディアムタイヤとハードタイヤで大きなタイム差があること、予選時の路面温度は約50度に達し、決勝でも同様の天候が予想されるので2回以上のピットストップが必要になることもあったのでしょう。レースの鍵は、タイヤの摩耗と劣化をどう管理するかです。 11番グリッド以降は自由にスタートタイヤを選択できるので、ライバルと違うことを試すことで上位に進出する可能性もあります。おもしろい決勝になりそうです」と分析している。

第6戦スペインGP決勝は、決勝は8月16日日本時間22時10分(現地15時10分)から始まる。

2020年F1第6戦スペインGP 予選結果

PP 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:15.584
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:15.643
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:16.292
4位7 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)1:16.482
5位18 L.ストロール(レーシングポイント・メルセデス)1:16.589
6位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) 1:17.029
7位 55 C.サインツ (マクラーレン・ルノー) 1:17.044
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) 1:17.084
9位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:17.087
10位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 1:17.136

12位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

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