メルセデス・ベンツ C320(2002年)
日本にも一昨年(編集部註:2000年)の秋に導入されたメルセデス・ベンツの新型Cクラス。昨年の夏にはステーションワゴンやスポーツクーペもラインアップに加わり、またエンジンバリエーションも2Lの直4 DOHC(自然吸気版)から3.2LのV6 SOHCまで、豊富に展開されている。
今回試乗したのは、トップグレードともいえるC320。180(2L)や240(2.6L)とは異なり、車名のとおり3.2LのV6 3バルブSOHCを搭載する。このエンジンはオープンスポーツのSLKからフラッグシップのSクラスまで、メルセデス・ベンツの多くの車種に搭載されている中核的ユニットだ。C320ではSLKやCLKと同様の最高出力218ps/最大トルク31.6kgmを発生する。
小さいボディに大排気量エンジンを搭載したクルマを好む人はけっこう多い。したがって、このC320のようなクルマは、贅沢だがとても楽しい選択肢のひとつだ。エンジンが大きくなったおかげでクルマの重厚感が増している。V6はきわめてスムーズで、しなやかなATとの相性もいい。今まで新型Cクラスにはそれほどいいイメージを抱いていなかった人でも、このC320に乗ると評価は一変するだろう。メルセデスがよくやることだが、2002年モデルで目に見えない部分の小変更をかなり加えたのかもしれない。
低速域でのステアフィールにしなやかさが少し不足しているようにも思えるが、そこそこの速度で走ると気にならない。フロアトンネルが大きいので右ハンドルではペダルまわりに少々違和感がある、といった点は気になるが、ほとんどアラ探しのレベルだ。扱いやすいサイズにスムーズなエンジンで、以前に紹介したSLにも通じる乗り味は、上質感を求める人にはすごくいいクルマだ。
ただし、このC320は610万円もする。C240より100万円以上も高いし、E240よりも50万円高い。あと30万円出せばE320だって買えてしまうのだ。そう考えると「Cクラスなら180でいい。モアパワーを望んでも240で十分」とも思えるのだが、それでもこの3.2Lを味わってしまうと「やっぱりコレかな?」とも思ってしまう。
昨年(編集部註:2001年)、5万3000台以上を登録したメルセデス・ベンツ。そのうちCクラス セダンは約1万2000台だが、C320はわずか1%にすぎない。他グレードとの価格差を考えると仕方ないと思うが、乗ってみるとオススメしたくなる、ベスト of Cクラスなのだ。
だが、Cクラスにはもっとすごいモデルがある。C320をベースにAMGが手を入れてスーパーチャージャーを装着したC32 AMGだ。353ps/45.9kgmを発生し、価格は890万円! これこそが、究極のベスト of Cクラスかもしれない・・・。
■メルセデス・ベンツ C320 主要諸元
●全長×全幅×全高:4535×1730×1425mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1530kg
●エンジン形式:V6・3バルブSOHC・FR
●排気量:3199cc
●最高出力:160kW(218ps)/5700rpm
●最大トルク:310Nm(31.6kgm)/3000-4600rpm
●トランスミッション:電子制御5速AT(ティップシフト付き)
●タイヤ:205/55R16
●車両価格(当時):610万円