メルセデス・ベンツ Cクラス(2代目:2000年)
メルセデス・ベンツのエントリーモデル(編集部註:2000年当時)であるCクラスが、登場以来7年を経てフルモデルチェンジを果たした。その新型Cクラスを鈴鹿サーキットのフルコースで試乗する機会を得た。
新型Cクラスでもっとも特徴的なのは、ヘッドライトがコンベンショナルな異形角型から、ユニークなひょうたん型?になったことだろう。従来からのメルセデス オーナーは当初は敬遠するかもしれないが、先に異形丸型4灯ヘッドライトを採用してデビュー当初は賛否両論となったEクラスも、現在では人気を集めている。このCクラスの顔つきも、しばらくすると慣れてしまうに違いない。
今回試乗したのは、スーパーチャージャー付き2LのC200コンプレッサー(以下、C200K)の左ハンドルと、2.6LになったC240の右ハンドル。発表会場のような室内ではなく、屋外で見る新型Cクラスは、写真で見るよりけっこうコンパクトだ。サイズ的には先代より全長とホイールベースが少し長くなっているが、全幅と全高はほとんど変わらない。
車内に乗り込むと、外観同様にSクラス風になったインテリアはかなり豪華だ。C200KもC240も装備はほぼ同等で、パワーシートはもちろんステアリングのテレスコピック&チルト調整まで電動だ! 大径のスピードメーター内にはマルチファンクション ディスプレイも備わる。後席はホイールベースが延びたおかげで足もとは広いが、なだらかなルーフ形状のためヘッドスペースは旧Cクラスよりやや狭い。
ブレーキから足まわりまでノーマルのままだったが、どちらもまったく不安なくサーキットでのスポーツ走行を楽しめた。何といっても効果的なのがESP(エレクトロニック スタビリティ プログラム)。S字のような100km/hほどで駆け抜ける中速コーナーではアンダーステアを消してくれるので、アクセルをガンガン踏んだままコーナリングが楽しめる。運転がうまくなったように感じさせてくれるのだ。
ストレートエンドでは180km/hにも達するが、直進安定性は良く風切り音も大きい方ではない。サーキットのような高回転域を常用する場所ではC200K、C240に大差はない。タイヤサイズの関係で、C240がわずかにロードホールディングはいい。タイヤは全車フランスBS製のトランザER30で、これはレグノER55に近い性格でマッチングは良かった。
一般道を想定しておとなしく走ってみると、C240の方がわずかに低速トルクがあるのと、4気筒よりは音や振動が少ないかな、というレベルで、どちらも乗り味の重厚感はCクラスとは思えないほどだ。ラック&ピニオンになったステアリングはパーキングスピードではけっこう重いが、相変わらずよく切れるので街中でも扱いやすいだろう。ブレーキのフィールもナチュラルだ。
新型Cクラスの出来の良さは、20世紀を締め括るにふさわしいセダンといえるだろう。50万円の価格差を考えると、オススメはC200Kだろうか。ただ、大量生産化のために見えない部分で削っているコストのため、先代よりも経年変化がどうなのか、少し気になってしまう。
■メルセデス・ベンツ C200コンプレッサー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4535×1730×1425mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1500kg
●エンジン形式:直4・DOHC+S/C
●排気量:1998cc
●最高出力:120kW(163ps)/5300rpm
●最大トルク:230Nm(23.5kgm)/2500-4800rpm
●トランスミッション:5速AT(ティップシフト)
●タイヤ:195/55R15
●車両価格(当時):450万円