今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「フォルクスワーゲン パサートワゴンW8」だ。

フォルクスワーゲン パサートワゴンW8(2002年)

画像: 2000年のビッグマイナーチェンジでドアとルーフ以外のボディパネルを一新し、高級感を増している。アルミホイールはW8専用デザイン。

2000年のビッグマイナーチェンジでドアとルーフ以外のボディパネルを一新し、高級感を増している。アルミホイールはW8専用デザイン。

パサートは、フォルクスワーゲンのミドルクラス セダン & ワゴンだ。1996年に発表された現行型の4代目は、昨年(編集部註:2001年)のマイナーチェンジで高級化が図られ、トップグレードには今回紹介するW8エンジンを搭載した。このエンジンは、15度という狭角のV型4気筒エンジンを、72度のバンク角でV型に配置したもの。

これに等間隔爆発のシングルプレーン クランクシャフトと、2本のバランサーシャフトを組み合わせている。メカニズム的にはかなり複雑だが、V8エンジンとは思えないほどコンパクトにまとめられている。組み合わされるトランスミッションはティプトロニック付き5速ATで、駆動方式は4モーションと呼ばれるフルタイム4WDを採用している。

セダンとワゴンが同時に発表されたパサートのW8だが、今回はワゴンに試乗してみることにした。日本でも先に発売されていたマイナーチェンジモデルも高級感が増していたが、このW8はさらに上を行く。外観こそ専用のタイヤ&ホイールとエンブレムくらいしか見分けがつかないが、インテリアは高級車そのもの。

ファインナッパレザーという上質の本革をシート地などに採用し、フロントシートは電動アジャスト、ヒーターはリアシートにも備わっている。ステアリングやパネルなどにウッド素材もふんだんに使われている。DVDカーナビをはじめ、8スピーカー オーディオ、オートエアコン、クルーズコントロール、オートワイパーなどなど、まさにフル装備。

画像: 狭角のV4エンジンをふたつV型に組み合わせたユニークなW8エンジン。きわめてコンパクトにまとめられている。

狭角のV4エンジンをふたつV型に組み合わせたユニークなW8エンジン。きわめてコンパクトにまとめられている。

W8エンジンには可変バルブタイミング機構も備えており、低速域からきわめてトルクフル。排気量は4Lなのだが、もっと大きなエンジンのように感じる。かといってアメリカンV8のような音や振動は皆無。フォルクスワーゲンには失礼だが、もっと高級ブランドのエンジンのような、ジェントルかつ上質なフィーリングだ。

今回の試乗は郊外路が中心で少しだけ高速道路も走ってみたが、ティプトロニックでマニュアルシフトしなくてもDレンジに入れっぱなしで十分に速い。トルセンデフを採用した4WD「4モーション」の効果が感じられるほどの走りはしていないが、直進安定性は高く、コーナリングもスムーズだった。

運転していて、ふっと気がついた。そう、このクルマはワゴンだった! 後ろを振り返らない限り、そんなことを忘れさせるほど高級スポーツセダンのような雰囲気と走りっぷりを見せてくれる。リアシートもセダン同様に居住性が高く、座り心地も良い。ラゲッジスペースはFF車と変わらずスクエアでフラット。フロアにはリブが付けられて荷物の出し入れはしやすい。もちろんリアシートは分割可倒式だ。

FFのパサートワゴンでも実用的にはまったく不満はないが、予算的に余裕があって、高級ブランドのワゴンに負けない装備や走りを求めるなら、このW8はアリだ。そこまでラゲッジスペースは必要ないという人なら、もちろんセダンもオススメできる。

画像: 右リアコンビランプ脇に「W8」と「4 MOTION」のエンブレム、バンパー下の左右4本出しテールパイプがさりげなくハイパワーを主張。

右リアコンビランプ脇に「W8」と「4 MOTION」のエンブレム、バンパー下の左右4本出しテールパイプがさりげなくハイパワーを主張。

■パサートワゴンW8 4モーション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4680×1745×1495mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1800kg
●エンジン形式:W8・4バルブSOHC・縦置き4WD
●排気量:3998cc
●最高出力:202kW(275ps)/6000rpm
●最大トルク:370Nm(37.7kgm)/2750rpm
●トランスミッション:電子制御5速AT(ティプトロニック付き)
●タイヤ:225/45R17
●車両価格(当時):541万円

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