2Lターボ&48Vハイブリッドの新パワートレーンを採用
ボルボは世界的に車両の電動化を推進している。そして日本でも年内にも内燃機関のみの車両をなくし、すべてのモデルを電動化(プラグインハイブリッドまたは48Vハイブリッドモデルのみを販売)すると発表。
とくにSUVは2020年8月25日に内燃機関モデルの整理統合が行われ、全車電動化が完了している。これ、言うのは簡単かもしれないが、実行するのは容易なことではないはず。ボルボと言えば「安全」というコアバリューが思い浮かぶが、これに加えて今後は「環境への配慮」というキーワードも覚えておいた方がいい。
そんな電動化の中で、コンパクトSUVのXC40に従来設定されていた「T4」「T5」パワートレーンは廃止となり、新たに48Vハイブリッドモデル「B4」「B5」と、プラグインハイブリッドモデル「リチャージプラグインハイブリッドT5」が設定された。今回、この中からB4に試乗できたので、そのパフォーマンスについてレポートをお届けしよう。
B4は、第3世代の「ドライブE」パワートレーンとなる直列4気筒2Lの直噴ターボエンジンに、48Vハイブリッドシステムを組み合わせた高効率な新世代パワートレーンとなる。ISGM(インテグレーテッド スターター ジェネレーター モジュール)によって回生ブレーキで発電した電力を、48Vリチウムイオンバッテリーに蓄電し、その電気をエンジンの始動や動力補助を行うハイブリッドシステムを搭載している。つまり、マイルドハイブリッドモデルになったと言った方がわかりやすいかもしれない。ちなみにB4のエンジンは197ps/300Nmを発生し、FFと4WD(AWD)を設定。B5のエンジンは250ps/350Nmの高出力タイプで、4WDのみの設定となる。
B4でも必要十分にパワフルFFモデルは軽さが武器に
試乗したのはB4モメンタムのFFモデル。神奈川県箱根周辺の一般道とワインディング路で試乗したが、197psといってもパワー不足という感じはない。これをアシストするモーターの最高出力、最大トルクは14ps 、40Nmと必要最小限だが、それでもしっかりとアシストしてくれていることが感じられる。FFモデルは4WDモデルと比べて軽量なために、初期加速は良い方なのかもしれない。
そしてこの軽さは、走りにとても良い効果をもたらしている。まず、ワインディング路を走ると、とにかく軽快感があって、ドライバーの意図したとおりにフロントがインを向いてくれる。このフロントの動きに呼応してリアもしっかりと追従してきてくれて、安定性も抜群だ。安心して気持ち良くスポーティドライブを楽しむことができた。
一般道ではノンビリと走ってみるが、この状況では静粛性が高いことに気付く。つまり新開発のエンジンは静かなことも特徴だ。そして乗り心地がとてもいいことも特筆。荒れた路面でもしっかりといなしてドライバーの身体を揺らすことが少ない。これは高いボディ剛性により足がしっかりと動いているからだろう。
ひとつだけ気になったのはブレーキフィール。踏めばちゃんと効いてくれるのだが、コーナーへの進入時などで荷重移動をしたい時に、ブレーキを微妙に抜いた状態で制動力が大きく変化してしまう。回生ブレーキとはそういうものだ、といってしまえばそれまでなのだが、もう少し繊細なブレーキフィールになれば、より気持ち良く走れるはずだ。
おそらく、B5はこれよりもパワフルなので、もっと刺激的な走りが楽しめるのかもしれないが、筆者はむしろB4で十分だと思った。自分の使い方だと燃費に優れるFFの方が合っているし、つまり今回試乗したB4モメンタムのFFという組み合わせがベストだと感じた。なによりサイズ感も手頃で取り回しも楽なので、長く付き合えるモデルだと思う。(文:加藤 英昭)
■ボルボXC40 B4モメンタム 主要諸元
●全長×全幅×全高=4425×1875×1660mm
●ホイールベース=2700mm
●車両重量=1670kg
●エンジン= 直4DOHC
●総排気量=1968cc
●最高出力=197ps/4800-5400rpm
●最大トルク=300Nm/1500-42000rpm
●モーター最高出力=14ps
●モーター最大トルク=40Nm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=479万円