1シリーズ初登場のパワーユニットを搭載

さて、スペイン・バレンシアの試乗会に現れた1シリーズカブリオレはすべて125i。すなわちバルブトロニックを装備した218psと270Nmを発生するノーマルアスピレーションの3L直列6気筒エンジンを搭載したモデルで、試乗車には6速MTが組み合わされていた。

メーカーの発表によれば、スタートから100km/hに達するまでの所要時間は6.8秒、最高速度は238km/hをマークする。

1シリーズクーぺをベースに、ウエストラインから上部をそっくり取り去って誕生した4シーターカブリオレのプロフィールは非常に自然で、初めからオープンモデルを考えていたことがよくわかる。

ただし、4シーターといっても後席は幌の収納メカニズムのために大きく狭められ、子供用あるいは荷物置場にしかならない。トランク容量はトップを閉めた状態で305L、オープンにすると260Lと小さくなるので、事実上リアコンパートメントはカーゴルームとして使われる運命にあるのだろう。

ところでこのキャンバス製トップの開閉時間はわずか22秒、しかも50km/hまでなら走行中でも可能だ。また横転時の安全対策は、強化されたAピラーと緊急時に後席後方から飛び出すロールバーが受け持つ。

オープン化によるボディの補強やソフトトップの開閉メカニズムなどでおよそ120kg重くなったボディだが、2500rpmから4250rpmまでという広範な領域で発生する270Nmのたっぷりしたトルクのおかげで、全長4.36m/車重1585kgのコンパクトオープンは巨人に操られるスロットレーシングカーのように、アクセルペダルに対してクイックな動きを披露する。

開発担当者の説明によれば、サスペンションのセッティングは以前に乗ったピュアスポーツ指向の135iクーペよりは柔らかくなっているとのことだが、もはやドイツメーカーの試乗会にとって日本の箱根のような存在であるバレンシア郊外の山間部では、予想を超えた敏捷でスポーティな走りを披露してくれた。

ロールも少なく、またBMWの特徴となっている50対50の重量配分のおかげもあって、ステアリング特性はほとんどニュートラル。自然に、コーナーを積極的に探そうとしている自分に気がつくほどドライブを楽しませてくれる。

しかしこうしたドライビングプレジャーを提供する一方で、BMWはシフトアップインジケーター、アイドルストップ、ブレーキエネルギー回生などの環境対策も忘れてはいない。メーカー発表では、このテスト車の燃費はEUスタンダードの総合モードで100kmあたり8.1L、すなわち1Lあたり12.3kmという燃費を誇っている。またCO2排出量は195g/kmとなっている。

ドイツを中心としたヨーロッパでの1シリーズカブリオレの発売は3月からとなっている。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年4月号より)

画像: 50km/hまでなら走行中にトップの開閉可能。天候の急変などに際しても有効。トップの開閉時間はわずか22秒。

50km/hまでなら走行中にトップの開閉可能。天候の急変などに際しても有効。トップの開閉時間はわずか22秒。

ヒットの法則

BMW 125iカブリオレ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4360×1748×1411mm
●ホイールベース:2660mm
●車両重量:1585kg(EU)
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:160ps/6100rpm
●最大トルク:270Nm/2500-4250rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速MT
●最高速:238km/h
●0→100km/h加速:6.8秒
※欧州仕様

This article is a sponsored article by
''.