「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「ホンダ アコード(8代目)」だ。
パワートレーンは、2.4Lのi-VTEC+5速ATのFFのみに絞られた。さらに出足の重さを感じさせないよう、ローギアードなセッティングがなされているので、カッタルさとは無縁。高速域では、スピードメーターが表示する数値ほど「速さ」を感じない。真っ直ぐ走るクルージング性能が磨き込まれているからこそ実感できる「ゆとり」がある。また、目からウロコだったのがコーナリング性能。ロールの始まりが自然で、終始しなやか。スポーティ=硬いではないという考え方が見て取れる。
また、ハイテン材を多用し、遮音材も軽量化。車両重量の増加は先代比でセダンが+60kg、ワゴンは+10kgに抑えられている。インナーフレーム構造やルーフ閉断面連続結合構造といった先進技術が生み出した高剛性ボディも、走りに貢献していることは間違いない。
「変化」と「洗練」の両立、という難題をクリアした新型アコードは、1クラス上のクルマになったという確証をもたらしてくれた。
■ホンダ アコードセダン 24iL 主要諸元
●全長×全幅×全高:4730×1840×1440mm(4750×1840×1470)
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:1520kg(1590)
●エンジン種類:直4 DOHC<i-VTEC>
●排気量:2354cc
●最高出力:151kW<206ps>/7000rpm
●最大トルク:232Nm<23.7kgm>/4300rpm
●トランスミッション:5速AT<パドルシフト付き>
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:11.2km/L(11.0)
●タイヤ:225/50R17
●当時の車両価格<税込み>:380万円(410万円)
(カッコ内はツアラー 24iL)