第一印象から強烈なインパクトを感じさせるプジョーの新型「SUV 2008」。しかし卓越した個性は、そのルックスやインターフェイスだけではなかった。プジョー ブランドが長年育んできた「醍醐味」が、しっかりそこに息づいているのだ。(Motor Magazine 2020年12月号より)

粘り腰でコーナーをクリア。ワインディンが楽しい

ドライブフィールについては、きめ細かく改良が重ねられた、1.2Lピュアテックガソリンターボが好印象だった。出力は、130ps/230Nmまで高められている。さらにガソリン微粒子フィルターの採用により、排ガスのクリーン化と燃費性能を向上させている。WLTCモードで17.1km/LはSUVとしては立派な数値。これはCMPの軽さと優秀な8速ATの恩恵が大きいはずだ。

実際に走らせても1気筒あたりのボリュームが大きく、低速域からトルクの蹴り出しに余裕があるため、初期加速の立ち上がりがシャープで頼もしい。フィール面も3気筒特有の「ボロロ」といった排気音はほぼ感じない。振動も少なく、滑らか、と表現していい。

4000rpmから上の回転領域では伸び感が薄くなる傾向はあるものの、そこまで引っ張らなくても8速ATとのスムーズな連携で車速はスルスルと伸びていく。また80km/h前後の高速巡航では、ATが5速から上を極めて繊細に使いわけてくれるので速度調節が容易なことも印象的だった。

やや大きめのステップ段差からも類推できるように、CMPは剛性をかなり高めているようだ。そのフットワークは、フロアやホイールに入って来る微振動を巧みに抑え込んだ、滑らかでスッキリとした乗り心地に好感が持てた。非常に、こなれて来た感じがある。

そこに良く動いて姿勢をフラットに保つ、接地性の高いサスペンションが組み合わされるため、コーナーではターンインから軽快でキビキビと向きが変わるし、立ち上がりでの粘り腰にも大いなる安心感を実感できた。

SUVとしては比較的重心が低いパッケージングのおかげもあって、新型SUV 2008はワインディングが非常に楽しいクルマに仕上がっている。最新ハッチバックの208と比べても、遜色ないレベルにあるほどだ。

全方位で高い実力を見せるSUV 2008。大いなる躍進ぶりを見せるグループPSAの勢いを、象徴する一台と言えそうだ。(文:石川芳雄)

画像: 実用域で力強く、伸びやかな加速感にも定評があるピュアテック1.2Lターボを搭載。クリーン性能の高さも魅力だ。

実用域で力強く、伸びやかな加速感にも定評があるピュアテック1.2Lターボを搭載。クリーン性能の高さも魅力だ。

■プジョーSUV 2008GTライン 主要諸元

●全長×全幅×全高=4305×1770×1550mm
●ホイールベース=2610mm
●車両重量=1270kg
●エンジン= 直3DOHCターボ
●総排気量=1199cc
●最高出力=130ps/5500rpm
●最大トルク=230Nm/1750rpm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=338万円

This article is a sponsored article by
''.