2007年のフランクフルトモーターショーで初代ジャガーXFがデビューした。伝統とモダンを融合させながら、ジャガーが生まれ変わろうとしていることを感じさせるモデルだった。ポジション的にはSタイプの後継といえるXFはどんな個性を持っていたのか。ここでは2008年春、南フランスで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年5月号より)

よりよいデザインのため、あえてスチールボディに

このクルマ最大のセールスポイントは、スタイリッシュなエクステリアにある。とくに美しいのは後ろ姿。Cピラーからリアエンドにかけての造形には、うっとりさせられるものがある。かつてアストンマーティンに在籍していたイアン・カラムの本領発揮、といった感じだ。真横から見た姿も美しい。

それに対してフロント部分には、もう少しシャープな感じがあった方がよいのではとも思う。リアとサイドには非の打ちどころがないので、それに比してフロントセクションには物足りなさを感じてしまう。しかし、全体的には新世代ジャガーのあり方を見事に表現していると言っていい。ボディサイズはライバルより若干大きいと書いたが、それはこの伸びやかなスタイリングを実現するためだったのだろう。

ところでジャガーはこのところ、XJ、XKとアルミボディを採用してきたが、今回のXFはなぜスチールボディにしたのだろうか。チーフエンジニアからは「このクラスはスチールボディの方がよいと思います。アルミはスチールよりボディ部分で10%はコスト高になりますから」という模範解答が返ってきたのだが、その後、同じ質問をイアン・カラムにしてみた。すると「できないことはないのですが、このデザインはアルミを使ったのでは難しいんです」とのことだった。

ここにXFというクルマにかけるジャガーの思いを感じることができる。XFに与えられた最大の使命は「その斬新なデザインで新世代のジャガーをアピールする」ということなのだろう。結果的には運動性能も素晴らしい出来映えなのだが、そもそもの使命はデザイン的なインパクトを与えるということなのだ。

さて、チーフエンジニアは模範解答をするだけではなかった。試乗終了後、夕食の席でこんなことを言っていた。「XFはデザイン的には、新世代ジャガーの出発点なんです。これから出てくるものは、もっといいですよ」と。

そのクルマは何なのか。次のXJなのかどうかはわからないが、期待は大いに高まるというものだ。フォードグループから離れ、新たな道を歩んでいくことになるジャガーだが、その未来は明るく、希望に満ちあふれたものになることは間違いないだろう。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2008年5月号より)

画像: XF 4.2S V8。XKに搭載されているものと同じ4.2L DOHC+SCエンジン。グイグイとボディを引っ張ってくれるトルク感がよい。

XF 4.2S V8。XKに搭載されているものと同じ4.2L DOHC+SCエンジン。グイグイとボディを引っ張ってくれるトルク感がよい。

ヒットの法則

ジャガー XF 4.2S V8 主要諸元

●全長×全幅×全高:4961×1877×1460mm
●ホイールベース:2909mm
●車両重量:1842kg
●エンジン:V8DOHC+SC
●排気量:4196cc
●最高出力:416ps/6250rpm
●最大トルク:560Nm/4000rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●最高速:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:5.4秒
※欧州仕様

ジャガー XF 4.2 主要諸元

●全長×全幅×全高:4961×1877×1460mm
●ホイールベース:2909mm
●車両重量:1749kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4196cc
●最高出力:298ps/6000rpm
●最大トルク:411Nm/4100rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●最高速:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:6.5秒
※欧州仕様

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